年始に江戸東京博物館に行った時,乗り換えのために立ち寄った錦糸町駅で,たまたま見た255系特急電車(多分「しおさい」)を見て,子供達が「乗ってみたい」と.

 

 

 そこで,色々と画策していたら,485系お座敷電車「リゾートエクスプレスゆう」が,2月下旬に臨時快速「房総の休日」として内房線経由で勝浦まで入ることを知った.
 ところが,発売日にバタバタしていたため確保しそびれ,これを絡めることは断念した.

 そもそも255系は,基本的に総武本線の「しおさい」として銚子方面に向かう列車に使用されるのが原則.
 となると,銚子に向かうことを考えるべきなのだが,子連れで行くには,沿線の観光資源が今一つ.「しおさい」で銚子に行き,銚子電鉄にでも乗って,帰りは成田線回りで,成田ないし成田空港から総武快速線へと乗り継いで帰ることも考えた.

 

 内房線・外房線の特急電車は,原則として,東京駅の京葉線ホームから出るE257系(500番台)になる.
 ただし,週末に運転される新宿発着の「新宿さざなみ」「新宿わかしお」については,時々255系が入ることもある.
 2月最後の週末となった25,26の両日には,内房線の「新宿さざなみ」はE257系5両編成だが,外房線の「新宿わかしお」に255系9両編成が充当されるらしい.

 たまたま,25日に鴨川の宿が取れたので,「新宿さざなみ3」号で館山に行き,翌日,安房鴨川から「新宿わかしお」号で帰る,という計画を立てた.
 この界隈の移動には,クルマがないと不便かな,と思い,レンタカーを手配.ただし,館山で借りて鴨川で返すとなると,乗捨て料金はかからないだろうが,その間の内房線(といいながら外房を走る末端区間)が残ってしまう.筆者は当然,乗ったことがある区間だからいいのだが,長男は初めて.
 そこで,この近辺では館山にしかないトヨタレンタカーを借りて,翌日,館山で返し,普通列車で安房鴨川まで移動してから「新宿わかしお」に乗り継ぐ,という計画にした.

 

 ということで,新宿へ.
 東京駅でも横須賀・総武線ホームなら乗換も楽だし,地下区間もすぐに終わるのだが,京葉線ホームはかなり不便.しかも,越中島の先まで地下だ.更に「ネズミの国」が「目の毒」という気もする.
 実は,「新宿さざなみ3」号は,館山から先の普通列車接続が悪い.もし,電車だけで鴨川まで行こうと考えたら,この選択はなかった.これが「新宿さざなみ1」号ならば多少マシなのだが,今度は新宿発が早いため,当然,自宅からの出発時間も早くなり,起床も早くしなければならない.その意味では,レンタカー利用は必然だったのかも知れない.

 「新宿さざなみ」は,5両のうち,館山方2両(4・5号車)が自由席で,残りは普通車指定席.「えきねっと」の割引で,40%引になっているので,指定席のほうが自由席より遙かに安いという状況.
 長男が第1種の「身体障害者手帳」持ちなので,長男と大人1人までは,乗車券が半額になるが,特急券は対象外.なので,特急列車の区間は「えきねっと」の切符にしてある.この「えきねっと」切符は,乗車券部分が「山手線内」発着になるので,品川までの乗車券を別途購入すれば良い.その分も(僅かではあるが)安くなるし,その区間には当然「障割」「介割」をかけてある.

 5両編成のため,新宿駅の7番線ホームでは,相当北側に偏って停車していて,湘南新宿ラインから乗り継ぐと,かなり歩く羽目になってしまった.しかも,指定席が最後尾の1号車なので,尚更だ.

 乗ってしまえば2時間ちょっとで館山だが,正直なところ,東京湾をぐるっと回っていくことになるので,直線距離にすると大した距離ではない.
 浜金谷の手前で,金谷港に接近する東京湾フェリーを見て,尚更そう思った.内房には,車で行くほうが遙かに早く着く.だから,外房線に較べて,内房線では特急の運転もかなり削減されたのだろう.

 

 翌日,館山でレンタカーを返却して,内房線・安房鴨川行の普通列車に乗る.209系2100番台の4両編成だが,編成両端の運転台付きの車両は,セミクロスシートになっている.

 館山から安房鴨川までは,およそ40分.

 

 いよいよ,元々の「お目当て」だった255系「新宿わかしお」号に乗る.


 往路に乗ったE257系は,「あずさ」や「かいじ」にも使用される0番台のマイナーチェンジ版ともいえる車両なのと,先頭車の正面にある貫通路とその周囲の連結幌があるため,特急車両としては,さほど「カッコよさ」が感じられない.


 一方,この255系は,前面の大きな運転台ウィンドウや,海洋哺乳類を彷彿とさせるフォルムなどもあり,E257系よりは古いものの,見た目では洗練された印象がある.
 また,グリーン車を含む9両の編成も,普通車のみ5両のE257系500番台と比較すれば堂々としており,特急らしさが感じられる.
 ただし,やはり設計の古さはあり,シートにしても2人掛け座席の中央に肘掛がないこと,テーブルが肘掛収納式であることなどが挙げられる.尤も,テーブルについては,前列の座席背面に収納するタイプだと,座席を向い合せにした際に使用できない,という面もあるので,どちらがいいかは一概に言えない.

 

 また,これは255系やE257系に起因するものではないのだが,始発地から終点まで2時間を超える運転であるのに,車内販売がない,というのはどうだろう.
 途中駅で数分停車するとかならまだしも,そういう駅もあまりなく,仮に停車しても,ローカル駅ではホームに売店はおろか自販機すらないことも珍しくない.
 全区間で,というのは難しいにしても,例えば外房線なら大原とか茂原あたりから千葉・東京寄りの区間はあってもいいのではないだろうか.

 

 とまあ,そんなことで,房総半島を電車で一周した.
 筆者的には,新規区間は特にない(近隣では,実は小湊鉄道が未乗だったりする)が,長男は,内房線(全線)と外房線(上総一ノ宮以遠)が初乗りとなり,両線を完乗したことになる.