ふと、左横を見た


木々が光に揺れる


揺れているのは光を浴びたところだけぢゃない


その裏側だって揺れている


表立って活躍する人の何倍もの裏方が


同じようにわさわさと動いている。


日のあたる樹々も


社会の縮図


風が止まればもう


表の葉っぱだって


なんでもなくなるんだ


ただの日向。


陰の裏方も静まり返る




今度は逆から風が吹いた


裏方だった側が一気に表に躍動する


さっきまで日を浴びていた側は困惑する


こんなの僕じゃないと


そういう葉っぱはやがて


切り取られてゆく


そんな経緯を


ベランダのそばの街路樹は唄うのだ