足跡ひとつないまっさらの雪化粧
しかし明ければ悲惨な現実が待ち侘びていたのだった
呑気に写真なんぞ撮って
では、という感じで出かけたのでありんす。
ボクのタイヤは
こんなパターンである。馬鹿者や。
カブの配達用のプロ用は
小排気量車には規制のかからないウィンタースパイクタイヤが主流です。
住んでいるには山の上。
6%の坂を毎日上り下りしているのだ。
そこに雪。
定期バスが轍を作り、アスファルトを露出してくれるのが幸いだが
ところどころ雪を踏み固めた路面がいきなりやってくる。
ブレーキかけた時点で転倒必死。
免れることのない運命を咄嗟に選択しなければならないのだ。
時速30km/hで。
ボクはできるだけボディを垂直に保ち
エンブレを効かせて雪の路面に突入した。
アクセル全閉ということもあってか
なんとか転倒は免れた。
しかし、車体は制御不能かと思えるくらい痺れた。
そして麓まで何度もこれを繰り返すのだ。
走り屋気取りで選んだタイヤにバカを見た瞬間だった。
さて、下って、なんとか平地の雪のゾーンを捌いても
帰りは同じ道を登らなければならぬのだ。
6%。カブだと2速をかなり吹かさないと上がらない角度。
そこに、バスを始め踏み固められた雪道。
ええい、ままよ、と登り始めたが
雪、踏み締められたゾーンに入ると
たちまちハンドルが左右へガタガタと制御不能になり
後輪は空転。
『こりゃ転ぶな』と覚悟を決めるたびに
アスファルトに救われる。何度も。
結果、読んでる皆さんには残念な話だが、こけることなく
家にたどり着いたのだった。
この雪は1日で終わり、恐怖を味わった坂道もアスファルトへと戻っていった。
来年の冬は
冬用タイヤをはめ替えるか、それとも買うか
ホイールごと用意して対処しようかと
つくづく思わされた日だった。