昨晩、母親とLINEビデオ通話をしていた時の事。

唐突に母がこんな事を言い出した。

『やっとゴムの木が置ける部屋になるね』


実は我が家の伝統とも言えるゴムの木。

今から50年前、父が、父の兄から譲り受けた、一本のゴムの木の苗から始まった。

ボクがまだ2歳の時だ。

出どころは何と東山動植物園だという。父の兄にコネがあって譲ってもらったとの事。

以来、ボクにとってゴムの木がある生活はごく自然であり、ソウルメイトのような存在だった。

父は、精力的に枝分けをして、恐らく数え切れないほどの、子や孫の分け木があちこちの知り合いの元へ旅立って行った。毎年夏が来る直前、幹に傷をつけ、根が生えて来たところからうまく分離して1鉢作ってしまう。

ある時など、部屋の南側一面がゴムの木だらけになっていた事もあった。

流石に、放浪の生活を繰り返していたボクは、何度もゴムの木を送ってやる、という父の好意を封印して来た。

しかし、驚いたのは、とうの原木がまだ、分け木が出来る程元気だという事だ。

50年もの、ですよ?観葉植物でありながら。


目も段々見えづらくなって来た父も楽しそうに準備を始めているそう。


初めて、親父のゴムの木、部屋に置けるな。


何だか凄く嬉しくなった。


※画像お借りしました。