天体観測の精度向上の裏には
巨大な光学望遠鏡の建設と
電波望遠鏡の存在があります
しかしもう一つ重要な望遠鏡があります
それがアルマ望遠鏡です
日本が発案、主導し運営されている望遠鏡です
口径12mのアンテナ50台と
日本製のアンテナ16台 愛称「いざよい(十六夜)」
からなる電波望遠鏡システムです
光学望遠鏡では宇宙に漂うガスやチリに阻まれて
観測できない場所も観られる様になったのです
これら望遠鏡の性能が上がるにつれて
星や惑星の誕生などの
始まり が観えて来ました
高性能の すばる と アルマ は
宇宙の果てを見つめています
より遠くを観ることで
過去の宇宙が解るからです
宇宙は今から138億年まえに
ビッグバンという大爆発で始まりました
想像を超えた遠くからやって来る光や電波は
過去の情報を持って来てくれます
そこから導きだされる画像は
遠い過去の宇宙の姿を映し出しているのす
つまり 遠くを観ることで
宇宙の始まりが見えて来るのです
2012年に すばる望遠鏡はそれまでの記録を更新し
宇宙の最果ての姿を観測しました
131億光年彼方の銀河です
宇宙誕生から僅か7億年後のものです!
また別の地球から130億光年離れた場所には
直径が5万光年もある天体を発見しました!
このとても古くとてつもなく巨大な天体を
ヒミコと名付けました
これをハッブル望遠鏡で詳細に観測すると
3つの星団から形成されていると判明したのです
左の画像はハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたもので、中央の四角の中にヒミコが写しだされています。右上はその拡大画像で、紫色から青色をした3つの星の集団が左右に並んでいます。最も左側の星の集団は極めて青く、この色は原始ガスからなる星々の色と似ています。右下はすばる望遠鏡(青)、ハッブル宇宙望遠鏡(緑)、スピッツァー宇宙望遠鏡(赤)で観測されたヒミコのカラー画像。赤色は熱く輝く水素ガス雲で、55,000光年にも広がっています。
Credit: NASA/ESA/NAOJ/東京大学(大内正己)
▼観測をもとにした巨大天体ヒミコの想像図。原始的なガスが渦巻く中で、3つの星の集団が作られている。
Credit: 国立天文台
華々しい成果をあげるすばる天文台
これに対してアルマ望遠鏡はこれまで欠点として
遠くの観測には向かないと考えられていました
なぜならば 観測で狙う炭素の電波は
初期の銀河では極めて弱いためです
そこで日本の研究チームはこれまでの常識を覆し
酸素の電波に注目したのです
そして見事に酸素の電波を捉えることに成功し
すばるが観測した131億光年彼方の
銀河の姿を捉えて映像化してみせたのです
新たな観測手法の開発で
アルマの弱点克服に成功したのです
これにより酸素の電波を観測してみると
なんと地球から132億8000万光年も彼方に
宇宙誕生から約5億年後の銀河が発見されました!
すばるも以後 新しい発見をします
ヒミコの発見された領域を調べると
同じ130億光年の距離に12個の銀河を発見しました
その中にはこれまでの定説を覆したものもあります
この様にまだまだこれから
宇宙の始まりに繋がる新しいものが
発見されるかも知れません
天の川銀河の形成時期も古いと考えられており
太陽系はオリオン腕に属しています(黄色線)
そして太陽系の形成が僅か46億年まえです
地球もほぼ同時期に形成されました
現生人類であるホモ・サピエンスの誕生は
およそ25万年まえと云われています
25万/138億年 → 250,000/13,800,000,000
この宇宙の中では
あまりにも若すぎる存在が私たち人類なのです
その人類の科学水準が宇宙を凌駕していると?
何しろ
宇宙は驚くほどに古く
人類の想像を超えて広がっているのですから
地球人類を遥かに超えた知性が存在する
そう考える方が合理的でしょう
くずりゅう