シカによる山林の食害に悩まされていた山梨県北杜市白州町の農業、上原公夫さん(75)が独自の防止策を考案し、効果を上げている。方法は、木の幹の地上約1メートルの位置(シカの口とほぼ同じ高さ)に古着を巻くだけ。県によると、木の周りを柵や網で囲むなどの対策はあるが「古着は聞いたことがない」。科学的な根拠は不明で、他地域の山林まで効果があるか分からないが、上原さんは「人間のにおいがするから、わなだと思うのかもしれない」と推測している。

 上原さんは約3ヘクタールの山林を所有。元はクヌギやナラ林だったが、35年ほど前「いつかは役に立つだろう」と、高級木材のヒノキに植え替えた。

 しかし、若いヒノキの皮はシカの餌となるため、植えた直後から苗木が食い荒らされた。シカが急増した15年ほど前には、被害は年間100本近くに達した。地元の猟友会に駆除してもらったり、シカの舌がしびれる薬を幹に塗ったが、被害は止まらなかった。農業資材のビニールを幹に巻いても、破られた。

 途方に暮れていた95年3月ごろ、着古して処分するつもりだったズボンや肌着を見て、ふと思いついた。「せっかくだから巻いてみるか」。若木10本の根元に巻き付けてみると、不思議なことに食害に遭わなくなった。

 ただ木が成長すると、また被害が出た。試行錯誤の結果、シカの口とほぼ同じ高さの位置に巻き付けたところ、被害がやんだ。知人から古着を集め、今は約3000本のヒノキのうち若い約600本が服を“着ている”。周辺で林業を営む友人らにも勧め、効果を上げているという。

 県森林総合研究所によると、シカは嫌なにおいがするものには最初は近寄らないが、やがて慣れるという。担当者は「なぜ古着に寄りつかないのか、不思議だ」と話している。【山口香織】

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