誰にでもひとつやふたつあるはずだ。
思い出すだけで赤面もの…
恥ずかし過ぎて、思い出す事すらやめちゃうもの…
時が経って笑い話にかわるもの…
高校一年の春。
市役所職員の父は当時、電車でひとつ隣の施設に勤務していた。
「月に一回、バンドのおさらい会やってるんだけど、お客さんが少ないから見に行ってやれ」
はぁ?何だそれは?
どんなバンドが出るのか興味あったし、部活は午前中で終わるし…
幼なじみのCちゃんを誘って行ってみる事になった。
勤労青少年ホームに到着。
「たっ 大変だ パンクがいるっ
パンクがいるっ 」
」
私達は日立でPUNKSを見た事がなかったし、いるとも思ってなかった。
好奇心旺盛な私は、一際目立つ彼の背後にそぅっと移動し、キレイに丁寧に立ててあるヘアーをまじまじと観察した。
「触っていい?」
今思うと無礼極まりない行動…
しかし彼はにっこり微笑んで
「いいよ」
では遠慮なく…
「わ
 すご
すご い
い かちかちだ
かちかちだ
 」
」
「いったい何で固めているの 」
」
彼はにっこり微笑んで
「ヤマト糊」
………
えぇぇぇ

ダイエースプレーとかじゃなくて
フエキ糊でもなくヤマト糊…。
あぁ驚いた
いろんなバンドが出て、予想を超える楽しい時間を過ごした。
帰ろうとした時、彼等が声をかけてきた…
「これからみんなでこの人(ヤマト糊クン)の家に行くんだけど、一緒にきませんか?」
好奇心旺盛で怖いもの知らずの私達ははにかみながらもついていった。
お茶と少しのアルコール。
楽しい歓談。
しばらくすると、レンタルビデオ屋さんに行く事になった。
私とCちゃんは顔を見合わせて
「ラッキー 」
」
純情な私たちは、初めて訪問した男子の家でお手洗いを借りるなんて、恥ずかしくて恥ずかしくて、ずっと我慢していたのだ。
ビデオ屋さんはそう遠くないところにあった。
(やった 着いた
着いた )
)
パンパンになった膀胱を抱えた私たちは安堵した…
(ん?)
…ホッとしたのもつかの間…
一抹の不安を覚えた…。
そのお店のたたずまいは…
TSUTAYAとかそんなんじゃなくて、もろに個人が趣味でやってます 的な
的な
中に入ると…
予感的中
狭い店内、すぐそこにあるトイレのドアー…
もっとだめぢゃんっ

数分間我慢したが、
も
 ダメだっ
ダメだっ
「…ちょっと気分が悪いので、外の空気吸ってくるね」
ドアをそっと閉めたら…
さぁ急げ
走りたいけど走れない…
ちょっとの刺激も危険だ
静かに急いでトイレを探せ…忍者のように
…ない ない
ない なぁ
なぁ い
い
この辺りは閑静な住宅街…
コンビニどころかお店すらない
もうダメだ…私たちは諦めた。
民家の植え込みに向いてしゃがみ込んで…
放水
夜の住宅街に響く放水音…
ちょっとやそっとじゃ止まらない…
長く長く続く続く…
近所の人は
「あそこのお宅、夜なのに水まきかしら」
と思ったに違いない。
爽やかな顔でビデオ屋さんに戻ると、モニターには
「爆裂都市」
の映像が映しだされていた。
私の神様 大江慎也が
「スパナ!…大きいの!」
って、言ってた。
(いいえ、大江様…
長かったけれど、小さい方です)
今では笑って話せる出来事だけど、長いこと封印されていた。
帰り道も会話が途切れがちで…
 こつこつくつおとひびかせて~ おおおお~
こつこつくつおとひびかせて~ おおおお~
どちらからともなく口ずさむは
「セルナンバー8」
思い出すだけで赤面もの…
恥ずかし過ぎて、思い出す事すらやめちゃうもの…
時が経って笑い話にかわるもの…
高校一年の春。
市役所職員の父は当時、電車でひとつ隣の施設に勤務していた。
「月に一回、バンドのおさらい会やってるんだけど、お客さんが少ないから見に行ってやれ」
はぁ?何だそれは?
どんなバンドが出るのか興味あったし、部活は午前中で終わるし…
幼なじみのCちゃんを誘って行ってみる事になった。
勤労青少年ホームに到着。
「たっ 大変だ
 パンクがいるっ
パンクがいるっ 」
」私達は日立でPUNKSを見た事がなかったし、いるとも思ってなかった。
好奇心旺盛な私は、一際目立つ彼の背後にそぅっと移動し、キレイに丁寧に立ててあるヘアーをまじまじと観察した。
「触っていい?」
今思うと無礼極まりない行動…
しかし彼はにっこり微笑んで
「いいよ」
では遠慮なく…
「わ

 すご
すご い
い かちかちだ
かちかちだ
 」
」「いったい何で固めているの
 」
」彼はにっこり微笑んで
「ヤマト糊」
………
えぇぇぇ


ダイエースプレーとかじゃなくて

フエキ糊でもなくヤマト糊…。
あぁ驚いた

いろんなバンドが出て、予想を超える楽しい時間を過ごした。
帰ろうとした時、彼等が声をかけてきた…
「これからみんなでこの人(ヤマト糊クン)の家に行くんだけど、一緒にきませんか?」
好奇心旺盛で怖いもの知らずの私達ははにかみながらもついていった。
お茶と少しのアルコール。
楽しい歓談。
しばらくすると、レンタルビデオ屋さんに行く事になった。
私とCちゃんは顔を見合わせて
「ラッキー
 」
」純情な私たちは、初めて訪問した男子の家でお手洗いを借りるなんて、恥ずかしくて恥ずかしくて、ずっと我慢していたのだ。
ビデオ屋さんはそう遠くないところにあった。
(やった
 着いた
着いた )
)パンパンになった膀胱を抱えた私たちは安堵した…
(ん?)
…ホッとしたのもつかの間…
一抹の不安を覚えた…。
そのお店のたたずまいは…
TSUTAYAとかそんなんじゃなくて、もろに個人が趣味でやってます
 的な
的な
中に入ると…
予感的中

狭い店内、すぐそこにあるトイレのドアー…
もっとだめぢゃんっ


数分間我慢したが、
も

 ダメだっ
ダメだっ
「…ちょっと気分が悪いので、外の空気吸ってくるね」
ドアをそっと閉めたら…
さぁ急げ

走りたいけど走れない…
ちょっとの刺激も危険だ

静かに急いでトイレを探せ…忍者のように

…ない
 ない
ない なぁ
なぁ い
い
この辺りは閑静な住宅街…
コンビニどころかお店すらない

もうダメだ…私たちは諦めた。
民家の植え込みに向いてしゃがみ込んで…
放水
夜の住宅街に響く放水音…
ちょっとやそっとじゃ止まらない…
長く長く続く続く…
近所の人は
「あそこのお宅、夜なのに水まきかしら」
と思ったに違いない。
爽やかな顔でビデオ屋さんに戻ると、モニターには
「爆裂都市」
の映像が映しだされていた。
私の神様 大江慎也が
「スパナ!…大きいの!」
って、言ってた。
(いいえ、大江様…
長かったけれど、小さい方です)
今では笑って話せる出来事だけど、長いこと封印されていた。
帰り道も会話が途切れがちで…
 こつこつくつおとひびかせて~ おおおお~
こつこつくつおとひびかせて~ おおおお~
どちらからともなく口ずさむは
「セルナンバー8」