下水道の中は予想通り空気さえも腐色した緑の霧が視界を覆うような程悪臭と嫌気と不快感が常に入り混じるような所だった。

レイナに保護膜を作って貰っていなかったら誰しも数十分とここにいてはいられなかっただろう。

光が近づくと暗闇にネズミのような音が何度か聞こえる。シューネの後ろに女性陣は身を寄せ合っている感じはするが、シューネはアンナを見つける事だけに周囲の探知能力に神経を注いでいる為、ソウビやバラライカ達には全く無関心であった。


Sy:「!ひっかかった。この先にアンナはいるようだ。」


S:「最近見なくなったという人からの証言だと数日は経っている感じはするんだけど、アンナさんは下水道に入って、何をしているのかしら?こんな所に長くいたら心身共におかしくなりそうなんだけど。」


ソウビの言葉に女性陣は頷く。

アンナ以外の反応が周囲にない為、取り敢えずシューネはそのまま進むことにした。


 更に進む事数十分すると、開けた場所に出る。そこはどうやら街が浸水しないように貯水出来るような空間だった。皆は周りに気を配りながら散策する。すると、中央に何やら物体のようなシルエットが光の玉によって浮かび上がる。


S:「え!?これって、、、アンナさん!??」


照らされたシルエットに見覚えのある姿があった。それはアンナを模した彫刻のような像だった。


Sy:「いや、これは像なんかじゃない。これはアンナ自身のようだ。ここで何かあって石像にされたんだろう。魔力探知に引っかかると言うことは生命反応もあると言う事。動かせるか調べてみて、可能なら安全な所に運ぼう。」


シューネの言葉に皆連携をとって調べる。

どうやら石像は移動可能なようで、レイナとバラライカの合技魔法創造で、石像を浮かせ移動させる。

入った所から出るのが安全と見て、皆は元の出口へと進み出す。


     ズン!!


後ろに重い音がしたと思い、振り返ろうとしたらバラライカは体を横に弾き飛ばされる。


M:「バラライカさん!!」


メリアルがバラライカに意識を向けた刹那、レイナはメリアルの前に飛び出し直感的に水魔法でガードをする。


Sy:「なんだこいつは、、、レイナ、気をつけろ。今俺が見ている化け物意外にも何かいそうだぞ。」


目の前には大きく異形が一体。口を大きく開けて高笑いをする。

メリアルはバラライカの様子が気になるが、自分たちの守りを固める事を最優先にする為、土魔法で壁を作り出して行く。


R:「見えないってのはまた面倒だね。」


Sy:「最悪な事を俺の探知魔法に引っ掛からなかったから余計にな。」


違う方向からメリアルの土壁が削り取られる。

見えない数がどれだけいるか不明。アンナの石像を守りながらここを切り抜けられるか、皆が焦り始める。