「こっこんなの知らない。」「こっこんなの見たことがない。」
ルビとサファは動かない体を動かそうとして頑張っている。2人はフォルムの変わったキャンサを見て驚愕する。
M:「レイナさん!今のカニさんは危険です!!気をつけて下さい!!!」
メリアルの声にレイナは親指を立てて応える。
キャンサは静かにゆっくりとレイナに距離を詰める。
「さあ、そろそろ死ぬ覚悟は出来たかカニか?」
R:「・・・もう美味しくないかんじだな。」
ズギャン!!
次の瞬間レイナは吹っ飛ばされる。レイナはすぐに立ち上がるも、身体中血が吹き出して倒れる。
M:「レイナさん!!!」
メリアルはすぐにレイナの元へ駆けつける。キャンサはレイナに回復魔法をかけているメリアルを姿を少しジッと見て、その瞬間姿が消える。
Sy:!!「メリアーール!!」
シューネが叫び終わる間もなく、キャンサはメリアルの背後を取り一線を浴びせようとする。
がしっ!
バラライカの魔法でキャンサの動きを封じる。その隙に後ろからソウビが拳に魔法を乗せてキャンサの後頭部に一撃を与えようとするも、バラライカの拘束も全く効果なく、ソウビも一撃を貰い吹き飛ばされる。メリアルに躊躇なくそのまま一撃を見舞う。が、次の鋏を下から掴まれる。
キャンサが隣に視線を移すと、そこには白い獅子の姿をした人物が立っていた。
「・・・今はこの門番のキャンサの世界カニ。手を出すなカニ。」
「言いたいことは分かる。キャンサ。だが、バアラ様直々の命令だ。」
「!?バアラ様の?・・・なら仕方がないカニ。」
キャンサは鋏を収め、体が光ると元の大蟹に姿を変えた。
メリアルはレイナの傷を治癒すると一目散にソウビの所に行き、治療を始める。
殺意や戦闘気配が無くなり、シューネは獅子の様相の人物に近づき、お礼を伝える。
「いや、礼には及ばん。バアラ様のご命令なんでな。キャンサこの者達預かるぞ。」
「ああ、勝手にしろカニ。俺の役目は終わったカニからな。」
キャンサは門へ帰りながら大鋏を振って挨拶する。
「お前誰?」「僕たち知らない。」
ルビやサファは獅子を知らない様子で凄く困惑する。
「ん?ああ、お前達か、そりゃ私の事は知らんだろうな。ここは巨蟹宮で、私は獅子宮にいるからな。」
「獅子宮?」「何それ??」
ルビやサファは更に混乱した。