外国人が心底パニクる複雑怪奇な日本の鉄道Yahoo!NEWS | ジェジュン あなたに 会いたくて

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1/30(火) 11:00 Yahoo!ニュース 

東京の鉄道路線図は外国人には解読不能になりつつある(写真:blackie0335/PIXTA) 

外国人観光客が初めて東京を訪れたとき、あるものにほかの何よりもと言って良いほど大きな驚きを覚える。日本に住んでいる人であれば、それはあまりに「普通のもの」なので、外国人が驚くことに驚くかも知れない。 外国人が驚くもの。それは、鉄道である。

■アメリカのお粗末すぎる鉄道事情 

私はアメリカの小さな町からやって来た。アメリカは質の低い鉄道が走っていることで悪名高い国だ。家から最寄りの駅は隣町にあり、約30㎞離れている。1日に長距離列車1本と、短距離通勤列車2~3本が走っているだけだ。 全米を結ぶ公的鉄道会社「アムトラック」がサービスを展開しているが、同社の財政状況は実に酷いもので、線路を貨物鉄道会社から借りなければならないほどだ。

電車が何時間も遅れることはザラで、駅員と乗務員は低賃金のせいで不機嫌で、いつも客に対して失礼だ。 そういうわけで、私が東京に初めて来たときの驚きを想像してみてほしい。地上と地下で交わるいくつもの線路、ひっきりなしに、時間前にきっちりとやって来る電車・・・・・・。 

駅はどこも安全かつ清潔で、明るい照明がついており、便利な場所に位置している。怖い顔をした乗務員も、車内をさまよう酔っ払いも、駅周辺にたむろするギャングもいない。私がアメリカで知っていたのとはまったく違う世界だった。 

この「畏怖の念」にも近い感情は、多くの外国人観光客が抱いているものだ。彼らは東京や大阪、そのほかの日本の主要都市の鉄道網に非常に感銘を受ける。多くの人は、電子表示板に表示された時間どおりに列車が到着することに特に驚く。毎日ものすごい数の乗客が利用している(たとえば新宿ではその数は400万人近くに上る)にも関わらず、遅れることはあまりない。 

駅が清潔なのも、驚くべきポイントの1つだ。たとえば、アメリカの駅の多くはボロボロで汚く、暗くて危険だ。貧しい人たちが暮らしていることも多く、犯罪者も少なくない。多くの場合、男性であっても夜間に1人で乗車するのは危険だ。日本の鉄道駅はその正反対であり、安全で明るく、歓迎的なうえ、駅構内にたくさんのお店まである。 

さらに、都市部ではほとんど、どこにいても近くに駅がある。利用者は気軽に電車に乗って、街のどこにでもすぐにたどり着くことができる。これは細かく張り巡らされたJR、私鉄、地下鉄のおかげだ。また、英語、韓国語、中国語での表示があるだけでなく、多言語で説明できる駅員が増えているおかげで、従来にも増して旅行しやすくなっている。

■鉄道に乗りたくて訪れる外国人も 観光列車にも同じ事が言える。

特に、私が最近まで住んでいた九州の観光列車の取り組みは、先鋭的だ。たとえば、福岡と大分の湯布院を結ぶ「ゆふいんの森」では、パノラマビューが楽しめるし、犬のマスコットが出迎えてくれる家族向け列車「あそぼーい!」は和室や図書館、木のプールなどを兼ね備えており、見事な阿蘇山のカルデラを眺めながら、子どもと車内で遊ぶことができる。 

ほかにも、大阪のスチームパンクスタイルの「ラピート」や、成田エクスプレスなどの革新的なエアポートエクスプレス、ビアガーデン列車、食堂列車ツアーなど、列車の種類も豊富ならば、デザインや乗り心地、その楽しみ方も多種多様だ。 
これらはすべて、日本の鉄道会社のすばらしいオリジナリティと創造性を示している。実際、海外では伝説にすらなっている新幹線やこうした観光列車に乗ることは、一部の観光客にとっては日本を訪れる主な理由となっている。日本は鉄道ファンにとって夢がかなう国なのである。 

私が依然に住んでいた福岡は、欧米の視点から見たら街の規模が大きいが、日本人的にはまだ「中」ぐらいに当たる。しかし、オーストラリアから訪れた友人は、「こんなに多くの地下鉄、電車、新幹線が行き交うことなんて初めて見た! 地下街だって迷路みたい。自分の国なら、めったに電車に乗ることがないのに…・・・」と感動的な反応を示した。 ・・・・・・とここまで一気にほめたが、日本の鉄道は完璧なわけではない。 

たとえば、人混みは外国人観光客がしばしば戸惑うものの1つだ。
アメリカ生まれの人間から見ると、日本を実際に訪れる前の日本に対するイメージは、規則を非常に重んじる人々が暮らす国というものだった。

■普段大人しい日本人が突然・・・ 

しかし、たとえば東京の混雑する場所では、人々の行動は無秩序に見える。通勤者は目的地につくまでやみくもに前に突き進み、お互いの体があちこちでやたらとぶつかり合う。駅では、ホーム上ではほぼ全員が規則正しく並んでいるが、ラッシュアワー時に列車のドアが開いたとたん、一斉に空いた席や車両の角の快適な隅っこに突進していき、駅員が後ろから乗客を詰め込む。

大人しい日本人が突然、攻撃的になる瞬間に外国人は驚く。 最近ではわざわざラッシュを「体験」しにくる外国人観光客もいるようだが、一般的に言えば、パーソナルスペースを重んじる国の人々にとっては、これは不快でしかない。 日本では鉄道運賃もかなり高い。
多くの欧米諸国と異なり、日本の鉄道会社は、会社名に「日本」が付くJRを含め民営で、線路などの設備も自社所有となっているから、国からの補助はほぼない。高い運賃の分だけサービスの質は高く、これは日本の居住者にとっては歓迎すべきことかもしれない。

しかし、短期滞在の観光客にとっては、特に特急や高速新幹線は便利な一方で、その運賃の負担は大きい。 ただし、外国人観光客であれば「ジャパン・レール・パス」のような割引運賃のパスを購入することが可能で、出費を抑えたい旅行には大いに役立つ。 

ここ最近気になるのは、外国人に対する駅員の態度である。確かに、駅員の業務は過酷で賃金に見合わないものであるかもしれない。加えて、日本語を話さない(もしくは話そうとしない)外国人観光者が日本に押し寄せている近年の状況は、明らかに日常的にやっかい事を生み出している。 

しかしながら、礼儀をわきまえようと努力している観光者や、(筆者のような)長期滞在者は、駅員の態度から丁重さや思いやりが薄れ、より敵対的になっていく現状に心を痛めている。 半年前に博多駅で、ある駅構内施設への行き方は知らないか、とあまり忙しくなさそうな駅員に尋ねたら、「案内所はあっち」とそっけない返事が帰ってきた。 

ああ、観光案内所のことだな、と気づいた瞬間、駅員が「英語は話さん。案内所、オーバーゼアー」と言い放った。確か英語では話しかけなかったはず・・・・・・。こんな反応は、7年前に福岡へ引っ越した当時にはなかった。駅員にとって、観光客への対応が非常にストレスになってきているのは明らかではないか。

■広大な路線網は相当手ごわい 

正規の運賃をごまかそうとする不誠実な外国人を過去に見ていれば、特定の国籍や外見を持つ人は不当な疑いの目にさらされることになるかもしれない。また、特定の旅行者が取った喜ばしいとは言えない態度が、外国人全体に対する駅員の憤りを助長しているのかもしれない。核心的な問題ではないにせよ、何らかの改善がすぐになされなければ、外国人観光客との衝突が起きる可能性もないとはいえない。 

次に観光者(あるいは、居住者も)を悩ませるのは、東京のような都会に張り巡らされている広大な路線網で、これは相当に手ごわい。多くの外国人観光者には、私鉄、JR、地下鉄、路面電車、路線バスがそれぞれの料金体系で運行していること、その結果それぞれの路線で乗車券を購入しなければならないことは知らない。 (一つの路線が別の路線に直結している)直通運行も一般的ではあるが、実はこれがさらなる混乱につながっている。

東京における京王と東武、大阪における阪急と近鉄のように、多くの都市間運行路線では、終点の駅が異なったり、運行経路が複雑になったりする。その結果、土地勘のない人には分かりにくくなってしまう。 さらに、鉄道会社の運行体系には、特急、急行、快速、通勤特急、準急、各停などさまざまなものがあり、たとえば、外国人にとっては「急行(rapid、またはexpress)」と「準急(semi-express)」、「通勤特急(limited express train)」の概念的な違いがわからない場合がある(そもそも、そんなに細かく通勤電車の種類が分かれている例は海外では多くない)。各停が途中で急行と待ち合わせたり、準急に抜かされたり・・・・・・は上級者でないと理解できない。 

しかも、主要路線の中には、途中で枝分かれして異なる終点に行くものもある。こうした複雑さが原因で、日本の鉄道路線図は外国人には解読不能に近いものになっているといっても過言ではない。

■外国人観光客に焦点を合わせるのではなく 

上記のような不満はあるが、日本の鉄道について言えば、よさが悪さを圧倒的に上回る。サービスの質は世界一、もしくはそれに近いものであるし、張り巡らされた路線網を利用して短時間でどこにでも簡単に行くことができる。本当に便利だ。 

しかし、過去に例を見ない数の観光者が日本に押し寄せ、オリンピックをはじめとする今後の国際的なイベントがさらに多くの観光客や、新たな居住者を誘い込むことが予想されるのだから、欠点は看過できない。 先述の弱点が改善されれば、日本人ではない乗客が鉄道をより容易に利用できると同時に、駅員や乗務員の負担も減るのではないか。高齢化や地方における過疎化が進む中で、今後外国人観光客は鉄道会社にとって重要な収入源になりうる。 

もちろん、外国人観光客だけに焦点を絞ったサービスを強化するよりすべきことはあると思うが、誰もが乗りやすい、使いやすいサービスを提供すれば、観光客を呼び込むこともできるかもしれない。瀕死の地方路線にとってはそれが生き残るキッカケになるかもしれないのだ。


真木 鳩陸 :フリーランス翻訳家、ライター

記事お借りしました



外国人でなくても初めて訪れる者にも分かりにくい。