公開作業vol7 アストンマーティン ラピード O2センサーエラーでの触媒不良 | 男のアトリエ

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京都市にある欧州輸入車の専門店、『株式会社ジェイウェーブ』 が送る気まぐれな日記です。

日々の他愛もない出来事から、新規入庫車両のご案内や弊社が実施した整備&用品取付けなど仕事に関する事もご紹介しております。

今回の未公開はアストンマーティン ラピードのエンジンチェックランプ点灯による入庫です。

 

 

京都ではあまり見ないラピード。2台は違うラピードになりますが、参考までに掲載。

(グリルにホイールなどが違っている2台です)

 

 

 

まずは診断機でフォルトコード(エラーコード)を読み取ると、右バンク、前側3気筒の触媒より後ろの下流O2センサーエラーがありました。

通常では、この診断だけでO2センサーを注文し交換するのでしょうが、長年の感もあり違和感が残りさらに診断を進めます。

 

リフトセクションでリフトアップも行い実際のO2センサー本体も目視でチェック。

目視では問題無いため、次は診断機でのデータモニター(現状のコンピューターが把握しているいろんな電圧や動作の表示)でO2センサーの一部をグラフ化しチェック。

 

なるべく簡単に内容書きますが、整備士のなかでもおそらく一部しか理解できない部分もあるかと思いますので、先に結果を書きます。

 

コンピューターエラーではO2センサー故障となっており、O2センサーは排ガス成分でエンジン内の燃焼状態を把握しているわけですが、1つ2~5万円ほどの部品になります。

ですがコンピューター診断だけで判断せず、しっかりチェックした診断の結果、今回は排ガスを浄化する触媒本体が劣化してのエラーでした。

ただ、この触媒左右各80万円と高額なためと触媒が少し機能低下しているだけでしたので、今回交換は保留になります。

 

 

ここからは、少し難しいかもな内容も追記してみますので興味ある方は見てもらえればと思います。

 

O2センサー交換が1個ならまだしも、念のために1台分のO2センサーを交換しようとすると、このラピードV型エンジンなのとV12なので左右にそして前3気筒後ろ3気筒それぞれにセンサーがついており、しかも近年の車は触媒劣化の判断もするための触媒前後にもセンサーがあるので合計8個も必要です。

このラピードのO2センサーは1つ5万円付近でしたのので、全部交換すると部品代だけでも40万円。

無駄な交換にならないようにも、きっちり診断したいところです。

 

 

まずはこのグラフ正常です。

青色グラフは触媒前の排ガス成分で、燃料が多かったり少なかったりを常に繰り返し排ガスを少しでもクリーンにできるように制御されています。

赤いグラフが触媒浄化後のO2センサー電圧。グラフ左側のエンジン始動直後から、しばらくし温まるとちゃんと浄化できているグラフに。

 

 

こちらは逆の左バンクのグラフですが、青の触媒前ではリニアに電圧が上下していますが、赤の下流センサーでは化学反応後のO2が少ない状態で触媒が生きている動きをしています。

 

 

 

 

今回問題のO2センサー信号。

赤色のグラフが上下にフラツキ後、O2センサーが機能していないような電圧になったり、アイドリングが落ち着き触媒温度が下がると、同じ上下動作を繰り返し、触媒前の浄化前のセンサーと同じ動きになりますが、一旦エンジン回転を上げて触媒を温めると、また浄化状態でしばらくは維持する。

 

温まると浄化できていることなどから、触媒本体の浄化部分のコーティングが剥がれているのを確認。

触媒の大きさからしても、一般的に多く使われているセラミック触媒ではなく、メタル触媒かと思われます。メタル触媒ですと浄化に必要なコーティングが剥がれるのもあり得ますし、左右センサー入れ替えても同症状ですので、触媒不良で確定しました。

 

このような診断では、もちろん診断機は必要なのですが診断機だけでは誤診の可能性も大きいため、経験に知識も含みできるだけ正確に確信できる整備を行っております。

 

 

 

では...Byはやし

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