沖縄に移住して2年近くが経つ。
この島のことをもっと深く知りたい。まずは何事も経験だという思いで、祭りやらエイサーやら三線やら島言葉(しまくとぅば)やら何でもかんでも首を突っ込んできたけれど、泡盛もそのうちの一つに過ぎなかった。
そもそも、僕はお酒にそれほど強くない。居酒屋でわいわい騒ぐほうでもない。沖縄に住むようになって仲間とお店で何杯か飲むことは勿論あるけれど、泡盛が大好きというわけではなかったし、いまでもそうなのかもしれない。
そんな僕が、この3月に、泡盛マイスターとなった。
県内には48の酒造所がある。酒蔵がある市町村は23にも及ぶ。僕が足を運んだこともない幾つかの離島でも昔ながらの手法で独自の島酒を作っている。このことに猛烈な興味を覚えた。ある人は「泡盛48」だと言っているけど、秋葉原のアイドルさながら、48の酒造所が個性で競い合っているのだ。
この島の広がりと深さを、泡盛を通じて、理解していきたい。それが泡盛マイスターの資格をとりたいと思う強い動機であった。そしていま、試験に無事合格した身からすれば、この試験勉強を通じて沖縄理解は深まったと実感している。
沖縄を愛する方々には、たとえ下戸であっても、是非挑戦してもらいたいものだ。島内をドライブしたり、島人(しまんちゅ)と友人になって語り合うことも沖縄理解にはつながるとは思うけれど、泡盛マイスター試験を経験することは近道の一つであると自信をもって言いたい。だからこそ、この資格は沖縄県知事認証制度なのだろう。
泡盛マイスターは、琉球泡盛を沖縄から日本全国へ、そして世界へと紹介し普及させるという役割を期待されている。僕も千人弱しかいないマイスターの一人としてこの役割をしっかりと果たそうと思っている。
以下の写真は、本部町にある山川酒造の「琉宮の邦・海底酒」(八年古酒・四十度)。
初回から珍しい島酒の紹介となった。でも、泡盛マイスター試験合格祝いとして、妻からの嬉しいプレゼントだったので、紹介したかったのだ。
四合瓶を水深5-10メートルの海底に沈め、一年以上寝かせたのが、この海底酒だ。
木箱を開けると、珊瑚がいっぱい付着した酒瓶が姿をみせる。ラベルもぼろぼろだ。こんな汚い瓶はみたことがない。ビン・カン収集日の朝にゴミ捨て場に転がっている一升瓶のほうがまだましかもしれない。それだけにオリジナルな貴重なものだ。

