超過利潤法で分析

 

力の源HDについて、東証から企業価値向上の仕組でNo.1と表彰された花王を初め、企業価値向上の経営の仕組として注目されている超過利潤法(別名EVA法)で企業価値分析をおこなってみた。

 

営業利益率3%のままだと割高の可能性

10%まで改善すれば割安の可能性
 

結論からいえば、今期の営業利益率3%程度のままであれば昨日の気配値1380円は割高、逆に営業利益率が仮に、日高屋なみの10%近くなる可能性がるのであれば株価は理論的に2000円近くなってもおかしくなく(あくまでもしなればの話であるが)1380円は割安という分析結果が得られた。

 

現状は超過利潤はマイナスと推計

順次その理由を説明しよう。時価総額は、気配値1380円、発行済株式数は1110万株なので1380×1110万=153億円となる。開示資料によると有利府負債等は77億円なので気配値ベースの理論的な企業価値は77+153=230億円となる。

一方営業利益は今期見通しで6億円、超過利潤法の分析で利用する税引き後営業利益は4億円程度となる。

 

 

開示資料の財務数値から分析すると投下資本は運転資本はネットで考えて投資有価証券を除く事業に利用されているベースでみると約102億円となる。

資本コストが簡便的に5%とすると5%×102億円=5億円が投資家が満足する最低の税引き後営業利益の水準となる。


つまり5億円を超過する税引き後営業利益がないと超過利潤はマイナスとなる。実際の税引き後営業利益は4億円程度なので、理論的に超過利潤は今はおそらくマイナスである。

なお、5%という資本コストは、有利子負債を含めた市場から調達した投資資金に対して最低必要な水準といえるレベルなので、これ以上低いということは考えにくい。

 

超過利潤はマイナスのままではいくら成長しても企業価値向上につながらない
超過利潤がマイナスの場合はいくら成長しても、理論的に成長価値はゼロ未満となるので、以上をベースに超過利潤法で試算すると、投下資本(102億円)+非事業性資産(この場合は投資有価証券8億円と推計した)=110億円が企業価値となる。

77億円が有利子負債等なので、今の収益率を前提に株主価値を計算すると110-77=33億円程度となる。


 

33億円に対して153億円の時価総額ということは、これが適正水準となるには企業価値創出力が120億円ほどアップしなければならないということになる。

今の企業価値創造の構造だといくら成長しても割高ということになる。

だが、もしかりに営業利益率が8%にアップするのであれば、この成長価値が十分に説明できる。

日高屋は営業利益率10%

ちなみに類似事業の日高屋は、営業利益が10%以上である。力の源HDも、先行投資がおさまって実力の利益率が出せればその程度の水準はでると考えてもおかしくない。

力の源HDの利益構造を見ると粗利率は70%と極めて高い一方で、販売管理費も67%と非常に高い。

 

日高屋並みに営業利益率10%に改善するシリオをがあれば割安ともいえる

おそらくこれはかなりの先行投資がかさんでいるからと推測される。もし10%の営業利益率が持続的に生み出すことができるとして、すでに示した計算を行うと時価総額は最低でも2000円程度と試算される。

 

 

これはもちろん、いつでも営業利益率が10%だせる実力があるという前提の話であるが、さほど非現実的な設定ではないだろう。

 

 

以上はあくまで表面的な計算でしかないが、10%程度の営業利益率がいつでも出そうと思えばだせるという前提であれば、まだまだ上昇余地があることが理論的に説明可能と結論づけることができる(EVAはスタースチュワートの登録商標)。

力の源HDにもとめられているのは、将来の成長シナリオに加えて、企業価値創造の理論的なストーリー、ロジック展開についてより深いメッセージを出していることではないかと思われる。

 

戦略と行動と企業価値のつながりについてよりワクワクするストーリーがほしい

 

成長可能性に関する説明資料をみたが、成長ポテンシャルについては詳細に説明がなされているが、バランスシートを含めた財務数字の説明は数値が羅列されているだけで、戦略と行動と企業価値のつながりについての説明がほとんどないように見受けられる。

数値的な企業価値創造ストーリーについてもう少し踏み込んだ説明がほしいと感じた。それにより投資家から共感・信頼・共創される企業価値の向上を実践することになろう。