企業の経営資源分析をおこなうとき、結果として表れている●●製品の競争力がある、とか、業界で強固な営業基盤を築いている、とか、言葉にとらわれがちである


外から企業を開示資料で分析するときは、それしか方法がないので、仕方がない。


しかし、直接企業を取材したり、経営コンサルティング活動する場合は、人中心にすべてを分析し、判断をしていくことがきわめて重要である。


ある企業の研究開発力とは何か?それは結局は、組織の中で存在している人の活動であり、意思決定構造であり、そこでどのようなゴールにむかってどのような活動が組織化されて、どう日々調整されているのか、という、まさに人の行動の集積、思考プロセスの積み重ねによって支えられている。


すなわち、それらの活動状況を分析しなければ、その強みはわからない。


MBA的な人を抽象化した理論の積み重ねと、実際の人の動きの活動状況の分析、この二つを理解することで初めて、特定の組織の強みがわかる。


企業分析するときも、訪問前は、MBA的な経営分析を精緻におこなうことが必須であるが、取材するときは、それらの理論的仮説の検証にとどまらず、人の活動、経営思想、社員がどう日々生き生きとはたらいているのか、分析することが重要である。


経営理論的にもちろん優れたロジックを構築すること、それに合わせて、人の活動を適切にマネジメントすること、この両輪が優れた組織の前提である。


MBA的経営を批判する人は、MBA的経営だけおこなって人の活動分析に焦点を当てないで失敗した人を批判していると考えられる。


言わゆる5フォース分析や、VRIO分析、ボストンマトリックス分析など、古典的MBAツールはきわめて重要であり、その知識をもって「人」中心の経営を行うことで、最強の組織を作り上げていくことができる。