企業とは一体なんのために存在するのであろうか?



一言でいえば、企業は、


①投入した経営資源に適切な対価を支払って


②顧客価値を創造する


ために存在すると言える。



では投入する経営資源には何があるだろうか?



第一にお金である。




お金には二つある。



一つは銀行ローンのような借金である。


これに対して期日にお金を返して、金利を支払うことが適切な対価となる。



もうひとつは株式である。株式は投資した金額が保証されない。


企業は返す必要もない。



かなり、リスクがある金融商品である。




これは、配当が対価となるが、法律的には、当期利益をすべて配当することが可能である。



よって、投資した金額に対していくら当期利益を出しているかということが、「対価」を考える上で重要になる。




1000万円投資したら、一体いくら当期利益があれば満足するだろうか?




だいたい50万から100万円あれば大抵の人は満足するのではないだろうか?





これは利益率という視点でみれば5%から10%である。




5%や10%のリターンがあれば、この低金利のご時世に、大抵の人は満足するだろう。




株はリスクがあるため、そのリスクに見合った高いリターンを平均的には生まないと株の資金の出し手は満足しない。





上場企業の場合は、少しややこしい。





時価総額に対してどの程度の当期利益を出したが問題となるからだ。


調達したお金ではなく、重要なのは時価総額である。




つまり、1200億円の時価総額であれば、60億円から100億円の当期利益が平均的には求められよう。




逆数にすれば20倍から10倍である。これを英語では


Price Earning Ratio 略して PERといわれる数字だ。




もし1200億円の時価総額で、20億円の当期利益しか出していない企業はどうであろうか?




PERは60倍である。


利益率でみればわずか1.6%である。


リターンが低すぎるように見えるだろう。




例えば、SNSで有名なミクシィがそうだ。




東洋経済四季報によれば当期純利益は今期は17億円、来期は20億円の予想である。




これに対して、時価総額は1200億円もある。


PERにすれば60倍ぐらいある。




利回りにすれば、わずか1.6%である。



そんな株になんで投資するのか?


1.6%の利回りでは、リスクに見合ってない。



当期利益がそのうちもっと大きくなるとの期待があるからと考えなければつじつまが合わない。



3年ー5年ぐらいで当期利益が60-120億円になるとみんなが思わないと、株価は下がるリスクがあるかもしれない、と考えるべきである。




なぜなら、1200億円の時価総額に対して、株式のリスクを考えると、大抵の人は、5%や10%の利回りがないと満足しないかもしれないからだ。



もし、そう考えると当期利益は60-120億円は必要になる。




しかし、逆に、3-5年たっても今と同じ水準の20億円しかだせないと投資家が認識すれば、時価総額はPER10-20倍、つまり、200億円から400億円まで下がるリスクもあると考えてもおかしくない。





利回りにすれば、時価総額が小さくなって、投資家が満足する水準まで下がらないとつじつまが合わないのである。




そうなっている会社はたくさんある。




例えば、着メロなどで有名なMTIである。



今期は当期利益が17億円で来期は20億円と東洋経済によれば予想されている。




でも時価総額は270億円しかない。同じ利益水準なのに時価総額はミクシィの4分の1以下しかない。



PERは、13倍、利回りであれば7%ぐらいである。




MTIはく3-5年で当期利益が60億円とか、120億円になるとはおもわれていないと考えなければつじつまが合わない。




ミクシィは、もちろん、多くの投資家が、利益がもっとも大きくなると期待していると考えるべきである。


MTIは今の当期利益で、時価総額に対して適切な対価を支払っていると考えることができよう。


ミクシィは、将来的に高い当期利益を支払うことで、適切な対価を支払うことになる。


経営者は、株式について適切な対価として、以上のような関係を認識することが重要だといえる。





お金について、適切な対価をどう考えるべきかは、これぐらいにして、他を考えよう。




企業が投入する経営資源には、お金のほかに何があるだろうか?


それは以下の3つである。


産業資本


自然資本


人的資本




それらにたいしてどのような対価をしはらえばよいのであろうか?


産業資本は、設備投資などであるが、それは市場価格が明らかなので、それを支払えばよいことになる。


わりと簡単な議論である。あまり深く考えることは必要ないだろう。






では自然資本などうであろうか?



これは、使ったものはもとの状態に戻すということであろう。




CO2を排出したら、それをどこかで削減する。


土壌を汚染したら、浄化する。



それで地球環境の中立となる。


つまり、自然資本については、もとに戻すことが対価を支払ったことになる。






人的資本はどうであろうか?


人的資本は2面性をもつ資本である。


その2面性を考慮して、考えなければならない。





次回に論じることにしたい。



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