企業を取材していると、「うちはトヨタ自動車と取引している」とのコメントを聞くことがある。厳しい取引基準をクリアして取引していることは非常に立派な会社であることに間違いない。


しかし、企業価値創造力という点ではどうだろうか?自動車部品メーカーの利益率を見ると、多くの場合、景気がよくても5%から、それ以下と営業利益率は低い。10%以上の営業利益率を上げている企業は稀である。どうしてそうなってしまうのだろうか?


これは、企業価値創造力入門(2)を読んでいただければある程度理由がわかると思われる。VRIO分析を行えば、なぜ利益率が低いのか明確になろう。


高収益性を達成している企業は、VRIO分析から見てやはり評価できる企業である。例えば、エンジンのピストンが上下するための筒(シリンダー)を製造している企業は、正確な品質が求められるため、おいそれと真似のできないノウハウを持っている。そのような企業は、歴史的に見れば収益率がたかい。


「トヨタ自動車様と取引している」は重要な要素だが、高い企業価値創造力を持っているかどうかについては、より深い考察が必要となろう。


また、「トヨタ自動車様と取引している」といって、安易に喜ぶのは早い。VRIO分析をして、本当に価値のある経営資源をもっているのか、考えることが重要である。


VRIO分析をしてたいした経営資源をもっていないにも関わらず大企業に依存しすぎると、いざ経済情勢が厳しくなれば、切り捨てられ、大きく売上が減少するリスクがあることを忘れてはならない。



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