競争激化の中で企業経営を行う上での重要ポイントについて、日ごろの企業価値分析活動で思っていることをランダムに述べて行こうと思う。


毎日、最も痛感することは、「会社は掛け算である」ということである。


顧客価値を起点とする企業価値創造活動は、いろいろなパターンが考えられるが、例えば、製造業では以下のように記載できる。



①マーケティング活動(顧客ニーズを把握する能力)


②商品企画(どんな機能を提供すべきかしぼりこむ能力)


③研究開発(機能を実現するための要素技術の研究開発力)


④試作(顧客ニーズに合致しているか、実際にコストに見合う値段で売れるか?原価企画の最終チェック)


⑤量産技術確立(試作段階のものを大量に作れる見込みが立つかどうか?どんな設備が必要か?)


⑥営業(商品の強みを顧客にアピールする能力)


⑦ロジスティクス(期日どおりに納期するための流通網があるか、品質を保って納期できるか?資金は回収できるのか?)


この全てに対して、企業経営者が常に行わなければならないのは、上記の①から⑦の一連の流れがいったい、業界平均と比較して、どの程度の位置にあるかを把握することである。


企業経営では、強みはいったい何かという点が注目されてしまいがちだが、忘れてはならないのは、他の分野において一つでも平均よりも大きく劣るものがあれば、大きく企業価値が棄損するということである。


会社の価値は、①×②×③×④×⑤×⑥×⑦=企業価値と考えるべきであるからだ。1個でも、例えば0.1という数字があれば、後をどんなにがんばっても、大きく企業価値が減少する。


例えば、商品企画がどんなに優れていても量産する技術がなければほとんど意味をなさない。技術系ベンチャーがうまくいかない典型的パターンは、量産技術でコストダウンできないケースである。R&D段階でのブレークスルーと量産技術のブレークスルーは同じ比重で重要である。


R&D段階で常に量産技術についても目配りしておくことがトータルなバリューチェーンを強固にする上で欠かせない視点である。


①から⑦のうち一つでも業界平均を大きく上回るものがあり、後は平均点をとれば、優れた企業と言える。しかし、1個でも落第点があれば、全て落第しているのと同じである。


もちろん、全て社内でやろうとすると、平均点以上をとるのが困難な場合がほとんである。ベンチャーであればなおさらである。その場合は、アウトソーシングしていかに平均点にするか、が大きな経営の重要なポイントとなる。ただし、そのアウトソーシングが非常にコストが高い場合があり、まったく利益が出ないケースがある。その場合は、どこか、ビジネスモデルがおかしいと考えるべきであろう。


また、技術変化、社会情勢の変化で、いつ何時、特定のプロセスが平均点以下になるかわからないと考えて、常に先読みをして、絶対に平均点以下はとらないように常に予習しておくことが経営者には求められる。しかも、グローバルな視点で目配りしなければならない。


平均点以下は1個もとるな!これが、確実に生き残る経営のためには基本中の基本の法則の一つであろう。


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