未来を予見する パート2
- 未来を予見する「5つの法則」/田坂 広志
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不況の乗り切る戦略レポート シーズンⅠ(1/3)
【時代を読む経営戦略】
●経営者には市場を「予見」する力が必要である。
経営者に必要な経営力の1つに、
市場を読む『大局観』があります。
本来、未来を予測できない理由は、3つあります。
①『不連続』:イノベーションによる過去と断絶した不連続な変化や
飛躍的な変化により市場は決して連続ではなく、不連続である。
②『非線形』:社会の片隅で起きた小さな揺らぎが社会全体の大きな変化に
つながるのが現代の市場である。有名な比喩を使わせていただけば、
「北京で蝶々が羽ばたくとニューヨークでハリケーンが現れる」という現象です。
③『加速度』:ドックイヤーといわれるように、過去7年の変化が1年で起きる、
あるいは過去18年の変化が起きるのが現代なのです。
だから未来の具体的な変化を「予測」することはできませんが、
大局的な方向を「予見」することはできます。
●なぜ、市場を予見できるのか?
「歴史は繰り返す」という言葉を良く耳にしますが、
実は市場の変化にも『法則』があるのです。
その法則を掴むことができれば市場を予見できます。
では、市場の法則とはどのようなものか?
それは、『市場はあたかも螺旋階段を登るように発展する』という法則です。
スパイラルを描いて見てください。
上から見れば、極点をポイントに左右に交互にリバウンドしていますが、
横から見れば一段ずつ上に上って行きます。
つまり、市場の変化は『発展と復古』が同時に起こるのです。
事例1:インターネット革命
かつて、村や町の市場では、指値や競りといった手法で
商売が行われていました。それが市場の極点という資本主義の発展、
市場の拡大で指値や競りといった非合理的な商売から、集団購入、
流通革命により価格を下げた共通価格での販売に変化しました。
しかし、インターネット革命により個人がeコマースを用いて
オークション制度での購入へと、階段を登りながら(発展)も、
指値・競りといった復古が起きたのです。
今後もインターネット革命の中で、画一的商売から個人主義、
地域主義へと回帰していくのでないでしょうか?
楽天が発展した鍵も一つそこにあると私は考えています。
それまでインターネットビジネスがうまく行っていなかったのに対し、
三木谷社長は顧客とのやりとりを定型のメールではなく、
クライアントの商店に対応を任せ、各商店の改善や顧客満足の向上に努めました。
(三木谷社長の著書、「成功のコンセプト」 幻冬舎の中でもそのように語られています。)
事例2:中間業者
かつての市場においては、小売・卸売りといった中間業者が存在しました。
このオールドミドルマンは「企業」の方向を向き、
販売代理のビジネスモデルで仕事をしていました。
しかし、コスト削減やインターネットの発展に伴い
このビジネスモデルは減少していきました。
ところが、形を変えて新しい中間業者が現れました。
それが、「顧客」の方向を向いた購買代理を行うニューミドルマンです。
例えば、アマゾンを思い浮かべて下さい。
アマゾンのビジネスモデルは正にこのニューミドルマンの
ビジネスモデルではないでしょうか?
●未曾有の市場における経営者の判断
過去の経営では、
【人生の期間よりもトレンドリバンドという変化が起きる期間が長かった】ので、
大きな大局を予見することが出来なくても経営はできた。
しかし、現代の経営では
【人生の期間よりもトレンドリバウンドが起きる期間が短い】のです。
つまりスパイラルの反転期間が短縮したために、
これからの中小企業の経営者は「戦略待機時間」を
生かすことで大手企業と戦いやすい時代になったのです。
ではこれからの時代は次にどのようなことが起きるのでしょうか?
例えば、事例1、2を考えてみると、
購買代理と個人主義が進化してきたことがわかります。
アマゾンの購買代理というビジネスモデルからコンシェルジュという、
より個人にマッチしたものを提供できるシステムが現れるかも知れません。
今の変化に対して、手を打つのが後手に回り、
耐え忍ぶ経営ではこの先戦えないのが現実だと思われます。
これからのスパイラル市場の激しい変化について行く、
あるいは先読みしたビジネスモデルで収益を上げ続けるにはどうすればいいのか?
その答えは、当然経営者に力にもありますが、
大きな要因は実は組織にあります。
これだけ変化の早い時代には、
経営者一人で時代を読み続けることはできません。
スパイラル市場で勝ち続ける組織作りが必要なのです。
●組織作りの落とし穴
ところで、組織作りに苦労なさっている経営者の方も多いことだと思います。
「右と決めた時に、社員が右を向いてくれない」といった
外野傍観型や心情抵抗型、確信抵抗型の組織体制に困っている。
あるいは、「社長一人が全てをやっていて、任せられる人間などいない!」
といった中間層不在、愛社精神をもった人材の不足といった組織課題も
あるのかも知れません。
このような組織体制では、絶対に時代の変化に対応することなどできません。
貴社は10年後、確実に存在していますか?
次回の第2弾レポートで、未曾有の不況を乗り切る組織についてお伝えしたいと思います。
●ノウハウレポートシーズンⅠ(2/3)
人生の期間よりも短くなったトレンドリバウンドを読むための
企業とはどのような組織体制なのか。
【次回レポートの内容】
・ 経営者が生む利益と、社員が生む利益
・ 日本企業の失われた10年
・ 人材基盤型経営
・ 経営者の視点と社員の視点
・ 中間層とボトムアップ組織
・ これからの時代の新中間層理論