こんにちは。

 

『リトル・ダンサー』レビュー、まだまだ続きます。

 

 

ビリーの住む町では、炭鉱で働く人々が賃上げを求めてストライキを起こしています。

以前のレビューでも書きましたが、

このスト運動と子供たちの純粋さのコントラストが、この映画の良さでもあります。

 

ビリーとデビーがバレエ教室から一緒に帰るシーン。

デビーはどこかで拾った棒切れで、壁をなぞるようにして歩いています。

壁が途切れたと思うと、スト運動に対して配備された警備隊の列が。

でもデビーは気にしない。

警備隊の構える盾を同じようにコツコツとなぞりながら、何食わぬ顔で歩き続ける。

このシュールな笑いが、刺さる人には刺さるんです。

(この直後、車が通りすぎると同時にデビーがパッと消えるのですが、

ここは謎です。ネットでも同じような疑問を抱いている人をたくさん見かけました。)

 

シュールな笑いと言えば、レビュー②で触れた墓参りのシーンもそう。

他にも細かいところで言うと、

ビリーが教本を見ながら洗面所で練習する時、

よく見ると本立てに使っているのは、おばあちゃんの入れ歯を洗浄中のコップ。

 

あとは物語終盤、ビリーとお父さんが一緒にバスに乗っているシーン。

ロンドンはどんな場所か尋ねられ、行ったことがないからわからないと答える父。

「行ったことないの?首都なのに」と息子につっこまれ、

「でも炭鉱がない」と言い返す。

しかし「炭鉱のことしか考えてないの?」とさらにつっこまれて、

黙り込む父、「……」な顔がおもしろい。なんだか丸くなったね、ジャッキー。

外の世界を知らないオールドタイプを、クスッと笑えるネタにする。

イギリスっぽい…!

 

イギリスのシュールな笑いについては他の作品でも触れられたらなと思います。

 

以上、『リトル・ダンサー』オモシロ名場面でした。