こんにちは。

 

『リトル・ダンサー』レビューの続きです。

前回、内容にあまり触れずに感想を書きましたが、

今回はもう少し踏み込んでレビューしていこうと思います!

この先は是非、一度映画を観てからお読みください!!

 

 

今まで何度も観てきた本作ですが、今回のレビューを書くにあたってもう一度見直しました。

というより今まさにこの文章を書きながら観ています。

 

すると新たな発見が。

(今まで何を見ていたのかという話なのですが)

 

スト運動の影響で練習場所をなくしたバレエ教室が、

ボクシング教室のお隣を借りてレッスンを始めたことがきっかけとなり

ビリーはバレエに出会い、惹かれていきます。

今までは、ここでビリーが突発的にバレエに対して興味を抱いたのだと思っていました。

 

しかしここに至る前に、ビリーのポテンシャルを示唆する要素が既に示されていたのです。

 

それは「ビリー」「音楽」関係に表れています。

冒頭、認知症のおばあちゃんを家に連れて帰った日の夜、

兄のトニーから「またレコードをいじったな!」と怒られるビリー。いつものことのようです。

翌朝にはピアノを弾いている。

やめるよう父から注意されると、「ママは文句など言わなかった」とぼそり。

今までは好きなようにピアノを弾いていたことが推測できます。

これらのことから、ビリーにとって音楽は身近な存在だったことがわかります。

 

そしてボクシングのシーンへ。

スパーリングを始めるというのにボサッと突っ立っているビリー。

すると急に臨戦態勢、ガードの構えを見せたかと思うと、

不思議な動きでリング上を動き回ります。

最初観たときは、「よっぽどボクシングがヘタクソなんだなあ」と思ったのですが、

このシーンはそんな浅い感想を吐き出す場ではなかったのです!

この時、隣のバレエ教室からピアノの伴奏が聞こえていたのです!

ビリーはそれに合わせて動いていた。いや、合わせていたのではなく

自然と体が動いてしまったのでしょうか。

物語が進むと出てくる踊りのシーンを見るとわかるのですが、

この不思議なフットワークが、バレエの動きと重なるんです。

まだ何のレッスンも受けていない段階でバレエの動きが自然と出てしまう、

これこそ才能ではないでしょうか。

 

しかしボクシングの才能は無いようで、居残りで練習する羽目に。

サンドバッグにパンチを打ち込むのですが、ここでまたピアノの音が聞こえてくる。

全くミット打ちに集中していない様子のビリー。

それどころかピアノの音に合わせてまた体が動いてしまっているよう。

この後体育館の鍵をウィルキンソン先生に渡しに行き、物語が動き始めます。

 

ここまでビリーと音楽の関係について語ってきましたが、

恐らくこの関係性のそもそものきっかけは彼のおばあちゃんではないかと思います。

おばあちゃんは『トップ・ハット』が好きで、

この映画を観た後は家の中を狂ったように踊り回っていたそうな。

「プロのダンサーにもなれたのよ」と、墓参りに向かう道中に豪語していました。

(この後、違う墓にお参りするシーンがクスッと笑えて僕は好きです)

 

まだまだ映画の「起」の段階、それも「起」の「起」。

語ると止まらないものですね。

最初のレビューはまだもう少し長くなりそうです。