こんにちは。
前回の記事で「親の不在がネバーランドを成立させている」的なことを書きましたが、
今回は「時間」にフォーカスしてみようと思います。
この映画の主人公はもちろんピーター・パンですが、
彼に引けを取らない活躍っぷりを見せるのがフック船長。
©Disney
フック船長は昔、ピーターに左手を切り落とされ、
それ以来代わりにフックをはめているという強者。
ちなみに切り落とされた手はワニに食われてしまいました。
手を食らったワニは人間の味を覚え、美味しすぎて忘れられなくなり、
匂いをたどってフック船長を食べにやってきます。
しかしこのワニ、何がどうなったか誤って目覚まし時計を呑み込んでしまい、
フック船長を食べるどころではなくなってしまったとさ。
でもでもまだ諦めきれないワニ、じわりじわりとフック船長を追い詰めます。
そう、このワニこそが後世に語り継がれる「チクタクワニ」である。
と、これだけ聞くと「愉快、愉快」くらいにしか思いませんよね。
でもこの2つのキャラクターをより抽象化してみると、
また違った『ピーター・パン』が見えてきます。
フック船長は立派な髭を生やしたおっさん、つまり「大人」です。彼の部下たちも「大人」。
子供だらけのネバーランドに乗り込んできた大人たち。
(インディアンの大人たちは一旦置いといて)
物語の中ではこの「大人」たちが「悪役」のポジションに置かれています。
そして時計を呑み込んだチクタクワニ、これは「時間」の象徴。
つまり、「フック船長=大人」が常に「チクタクワニ=時間」に怯え、逃げ惑う構図が
物語では描かれていることになります。
時間に追われて汚いことを働く大人、これを「悪」としています。
今の世にも通ずる俗的なイメージかもしれませんが、
普遍的であり、子供に示唆するにはわかりやすいイメージかもしれません。
そしてそして!僕が考察①で述べたことを正当化する結論になるのですが、
やっぱり僕が描く理想の「大人」像はこの作品にあったのです。
「少年」のような「大人」。
ネバーランドのロスト・ボーイズは時間という概念に縛られず、子供のままでいる。
ロンドンのウェンディたちは家族と共に大人になっていく。
そんな彼らのいいとこ取りをした「大人」は、
時間に縛られず、そして温かく成長していく存在なんだ。
(この存在はフック船長とは真逆の存在なので、やはり彼の役割は重要である)
僕の理想はネバーランドに隠されていた!!