サバイバル部
部員数:5名
部長:霧島リカ(3年1組)
顧問:安達充
主な活動:サバイバル、バーベキュー、筋トレ

 うわー。こんな部活あったんだ。サバイバル活動ってなにすんのよ。アバウトすぎるっしょ!


 霧島先輩から解放された私は、琴美と一緒に先輩から渡された部活紹介のチラシを見ている。
 見てるけど、実は、教育と護衛のため、という理由で無理やり入部させられた後だったりする。
 3歳の頃から惰性で続けている、週1のバレエの練習日だけは不参加OKってことで了承を貰えた。

「それにしても部活の勧誘だったとはねー。呼び出しとか、ウケるんだけどー。入るの?」

 私は母自慢のターキーサンドを頬張りながら頷いた。
 琴美は真実を知らない。おそらく先輩を含めた部員全員がヴァンパイアなのだろう。


「さくら、最近太ったんじゃない?発表会近いんじゃなかったけ?」

「うぅぅ。ご飯が美味しくて。」

「だよねー♪」

 2つ目のターキーサンドに手を伸ばしたところで琴美に脇腹をプニられた。
 バレエの発表会と言っても所詮私はチョイ役。小さいスクールだから必然的に全員参加になる。それに、私のバレリーナになりたいという情熱は小学6年の夏に置いてきている。


「さくら、せっかくスタイル良いのにもったいないょ。バレエもマジメにやれば良いのにさ!」

「この脚じゃ、無理だよ…。」


「…ごめん。私、またやっちゃった…。」

「良いって。それも含めて琴美なんだから。」

 小学6年の夏休み。
 バレエスクールに向う途中、私は事故にあった。左折車に巻き込まれる、よく聞くパターンの事故だ。おばあちゃんが買ってくれたお気に入りの自転車がメチャメチャになったのを覚えている。
 幸い命に別状はなかったが、壊れた自転車の部品が私の右太腿に突き刺さってしまい、大腿骨を損傷する大怪我を負ってしまった。

 それ以来、バレリーナになる夢は病室のベッドに忘れたままになっている。あの日、病室のベッドの上で聞いたヒグラシの声は、とてもうるさくて、とても耳障りだった。


「だからって、なんでサバイバルだって話なんだけどね!自分でもまじ謎!」

「だよねー。」

 私は自分の事を茶化してその場の空気を変えた。琴美はいつもほんわかした笑顔で応えてくれる。
 私達2人に多くの言葉はいらない。