J-DACSのバンコクなう -3ページ目

短い休戦

昨日まで、バンコク各地で政府関係機関の占拠を目指していた反政府デモ活動が、

今日からは休戦になりました。

5日の国王誕生日は争いをやめて国王陛下を祝おうと、

政府側と反政府側が一時休止を決めたようです。

占拠した場所に散らばったゴミを掃除したり、

警察とデモ隊が握手を交わして記念写真におさまったり、

昨日まで催涙ガスが飛び交い、バリケードの鉄条網が敷かれたりしていたことが嘘のように

親密なシーンがテレビに流れています。

反政府側の集会場所になっていた民主記念塔も電飾で飾り立てられ、

祝祭が始まります。

ただし、6日からはまたデモを再開する、ということも宣言されていて、

今年はとても短い祝祭になるのかもしれません。

炎天下の中を連日演説を聴き、反対表明の笛を吹き鳴らし、

デモに参加している人たちにはちょうどいい休暇なのかもしれません。

テレビ報道を見ているだけのボクも、

なんだか少し疲れを感じています。

バンコクは燃えるか

反政府デモが日増しに広がって、

バンコクの都心部にも交通渋滞を引き起こしています。

反タクシンを掲げる保守政党と

現政権党のプアタイ党の政権争いなんですが、

バンコクの特権階級・中間層・タイ南部の民主党を支持する人たちと、

元首相のタクシン氏とその妹のインラク現首相を支持する、タイ東北地方を中心とした低所得者層を巻き込んで、

バンコクのあちこちで、数万人におよぶ大規模な集会が行われ、

反タクシン派のデモ隊は政府庁舎の一部を占拠したりしています。

3年前の政争では、90人の死者がでるという暴動になってしまいましたが、

あのときの構図とあまり変わっていないように思えます。

とはいえ、バンコクで生きているタイの人たちの多くは、

普段と変わらず屋台で食事をし、酒を飲み、恋人とのデートを楽しんでいます。

12月5日は国王誕生日。

この日までに収束するようには思えませんが、

王宮に近い民主記念塔に集まっている数万人の反タクシン派は、12月5日をどのように過すのでしょう。

3年前の再現にならないように願うばかりです。

ロイカトンはチンタラーとバイトゥーイのコンサートで

17日はロイカトン。灯篭流しの日。

夜空にコムロイ(熱気球)が昇り、河にはロウソクの灯が流れます。

今年のロイカトンは、住まいの近くでモーラムのコンサートがあって、

ボクはロウソクよりモーラムを選んで、空き地のコンサートへ出かけました。

ロイカトンの日にふさわしく、スター歌手が二人、登場します。

夜8時、既に開演していましたが、入場ゲート前には相当の人だかりなのに、

会場内の観客はまばら。


6時間の長丁場のコンサートを踊って歌って楽しむために、

今はパワーを貯めているのかもしれません。

それでも9時、10時と時間が経つにつれて、来場する観客の数も増え、

司会のアナウンサーが次のステージの歌手名を告げると、

それまで後方に待機していた観客たちが、ステージ近くに集まってきます。

いよいよ目当てのスター歌手の登場。

モーラム界のトップスター、チンタラーのステージが始まりました。

ステージ前で踊る人の数も増え、写真のフラッシュがあちこちで光ります。

興奮が高まった頃、突然、密集した観客があわてて散り始めました。

どうやら観客同士の喧嘩が始まったようです。

プラスティック製の椅子が宙を飛んでいます。

しかしさすがはチンタラー。まったくおびえる様子もなく、歌い続けました。

45分のチンタラー・ステージが終わると、

ショーの締めくくりは、バイトゥーイ。

それまで登場した歌手たちとはまったく違って、まるでポップスのような歌曲。

ダンサーたちも、モーラム特有のきらびやかな衣装ではなく、

J-POPやK-POPのステージと同じような若々しさです。

観客の興奮は最高潮に達しています。

ここでもステージ脇で喧嘩騒ぎ。

酔客の騒動にも、バイトゥーイは動じることなく歌い、踊り続けました。

ボクはチンタラーもバイトゥーイも生で観たのは初めて。

入場料140バーツ、椅子の借り賃20バーツでショーを楽しめる至福の6時間でした。














Oさんの親切

タイ商工会議所大学のそば、

広々としたタイ食堂の一角で日本料理の屋台を出しているOさんの店には、

大学に授業のあるときは、一日に100人のお客さんがくるそうです。

バンコクに来てすでに25年になる達人。

そのOさんが、3時過ぎにひょっこり赤猫カフェにやってきました。

「コーヒーをいただこうと思って」

初めて来てくれたOさんは、そう言って店に入る前に

「このブロック、無いほうがいいねぇ」

カフェの入り口、テラスを置いている場所は、3年前の洪水のときに

前に居住していたDさんが、
水を防ぐためのブロック塀を作っていて、

店内に入るにはそのブロックの仕切りをヨイショッとまたぐようになっています。

「女子学生はミニスカートだからね、またぎにくいでしょ」

確かに、この仕切りはもう用をなさないのだから、

電気工事をやってもらった工務店に頼んで、取り除いてもらうつもりでした。

「金槌、ある?」

言われるままに小さな金槌を渡すと、

Oさん、ガツンガツンとブロックの仕切りを壊し始めました。

店内で様子を見ていた女性スタッフたちは、貸主に許可を得たほうがいいんじゃないかと心配していましたが、

Oさんは一向にかまわず金槌を打ち下ろし続けます。

そうしておよそ10分、

工務店に頼もうと思っていたブロック仕切り壊しは、

Oさんの手で見事に完成してしまいました。

「あとは、ホコリを水で流しておいてね」

女子スタッフにそう告げて店内に入ってくると、

今度は間取りやテーブルの配置などを一瞥して、

「キッチンはもっと後ろに動かして、スペース作りましょう。

トイレ前の衝立は、こうしたほうがいいと思いますよ」

日本でも料理店をやっていたOさんだから、

どうやら赤猫カフェのいろいろなところが気になるようです。

「時間があるときに私が直してあげますよ。

工務店に頼むこと、ないよ」

コーヒーを飲んで、代金を払うと、

親切なOさんは、ヒョイと手をあげて、また自分の屋台に帰っていったのでした。












仏像を買う

オープンが間近に迫った赤猫Cafeを繁盛させてくれる

仏様の像を買い求めに行ってきました。

BTSのチョンノンシー駅から、スタッフたちと高速路線バス≪BRT≫に乗り込みます。

このバス、専用道路を走ってくれるから早いし、冷房付きだから涼しいし、

それに一律5バーツという安さ。

着いたところは、こんな大きな看板がかかったお寺。
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ここで仏様の像を買うらしい。

寺に入ると、あまり聞いたことのない神秘的な音楽が流れています。

インドの系列のお寺のようです。

入場料は、タイ人スタッフは無料ですが、ボクは日本人だから100バーツ。

ここには【仏陀の骨】が祭られていて、いくつものガラス容器には粉砕され骨らしきものが入っています。



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通路は赤や青の光で照らされていて、

流れる音曲とともに神秘の様相を一層引き立てています。

通路の脇に置かれた仏像は、タイの寺院とは違ったミステリアスな表情。

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左の球形の電飾はまるでSFの世界です。

通路をたどった先には、種類も大きさも違う数多くの仏様たちが並んでいて、

会社や店舗、自宅の守護を願う人たちが買い求めに来るのを待っています。

この寺で、ボクはスタッフたちの希望通り、商売繁盛の仏様・ガネーシャの像を1体いただき、

お坊様にお払いをしてもらい、相応の代金(お布施)を支払って、

再びBRTの高速バスで店舗に戻っていきました。

オープンの日に包装を解いて、店内に置いて、スタッフたちと毎日手を合わせて商売繁盛・千客万来をお願いすることになりそうです。


反政府集会

タイ政府が制定しようとしている「修正恩赦法案」。

政治関連で有罪となった人たちを免罪にする、という法案に反対する集会が

今日はバンコクの繁華街≪シーロム≫で開かれました。

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恩赦の対象には、有罪となってタイに戻ることが出来ない元首相のタクシン氏も含まれていて、

現政権が法案を通そうとしている目的はここにあるとして、

反タクシンを掲げる前政権党の民主党を中心に、反対運動が盛り上がっている、ということです。

地下鉄のシーロム駅前も、BTSのサラデーン駅前も、

集会に参加した人たちでいっぱい。

あちこちで笛が吹き鳴らされ、喚声があがり、

もともとにぎやかなシーロムの通りが、今日はいっそうけたたましくなっていました。

法案審議の議会はまだこれからも続きますから、

このけたたましさは、まだ当分は終わりそうにありません。

これって、あり?

バンコクの一番真ん中にある喫茶店。


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世界中に店舗展開しているあの店かと思って入ったら、

店内はこんな様子。

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どうやら映画の関係者が運営しているようです。

Star Back Cafe と Starbucks Coffee が2軒仲良く並んでいました。


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Kのお父さんの葬儀

赤猫カフェのコーヒー担当スタッフ・Kちゃんのお父さんが亡くなりました。

脳梗塞で倒れて3週間、まだ60歳の若さでの死でした。

チャオプラヤ河を越えた先の、BTS≪Tala Phlu≫駅からさらに車で30分。

葬儀はバンコクのはずれにある大きな寺院で行われました。
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タイの葬儀では、黒か白の服をきて参列する慣わしになっていますが、その他は特に問われないようで、サンダル履きの人も多くいました。

仏塔の前に並べられた椅子で待つこと1時間。その間にKちゃんのお母さんやおばあちゃん、兄弟たちが挨拶に来てくれました。

写真左がKちゃん、真ん中の僧侶姿はKちゃんのお兄さん、右は赤猫スタッフのSちゃん。

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葬儀はまず親族の献花。そのあと親族以外の参列者による献花が続きます。
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一人ずつ名前を呼ばれて、白い花を手に仏塔の階段をKちゃんと一緒に登って、壇上でKちゃんから渡された供物を仏壇に供えて合掌。

この儀式が一通り終わると、僧侶数人が棺を祭壇の奥に運びこみます。


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参列しているボクたちは、再び階段を上って、今度は棺に献花。

亡くなったお父さんの遺影を見ながら合掌しました。

葬儀は20分程度で終わりました。

席に戻って、ボクの後ろに腰掛けたKちゃんに、

「お父さん、いい男だね」

と声をかけたら、

それまで普通だったKちゃんの顔がこわばって、瞳がみるみる潤んできて、

ぽろぽろと涙がこぼれてきました。

悪いことを言ってしまったなぁ。

帰り際、寺院の裏手で車を待っていたら、

まだ生まれたばかりで目も見えない子犬が2匹、寝そべっていました。

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タイ飯食堂がいっぱい

赤猫カフェがオープンするタイ商工会議所大学の学生街には、

学生さんたちの旺盛な食欲を満たすための食堂があちこちにあります。

そのうちのひとつ、昼時にはいつも学生さんでいっぱいになる大きな食堂。

ここはフードコートになっていて、

10軒近くの店がそれぞれ自慢の料理を提供しています。

今日、ボクがいただいたタイ飯の3品。

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これは豚のレバー炒め。おいしい。


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シーフード(イカとエビでした)をカレーで炒めて卵を混ぜた料理。プーパッポンカレーのような味で、これもおいしくいただきました。



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そうして、これはお馴染み、タイ式サラダ、ソムタム。センミー入りです。
やっぱり辛くて、残してしまいましたが、いい味でした。

この食堂には日本料理の店もありました。

オムライス、カツカレー、中華丼、ナポリタン・・・・

日本の学生街でもよく見かけるメニューが並んでいます。それに、とても安い。

この店を切り盛りしているのは、日本人のO
さんご夫妻。

挨拶程度しか言葉を交わしていませんが、寡黙なオヤジさんという印象でした。

もうすぐオープンする赤猫カフェにも、学生さんたちが詰め掛けてくれたらうれしいのだけれど。


「赤猫カフェ」の下水工事

赤猫カフェの店内にキッチンカウンターが入って、

水道と電気を通す工事をお願いすることになりました。

今度は地元の工事屋さん。店の貸主が紹介してくれた工務店です。

約束の時間に少しだけ遅れて、工務店の方が2人、やってきました。

2人?

水道管・下水管を引き、天井に新しくライトを付けるための配線をし、テレビを壁に取り付け、CDやDVDを置く棚を作り・・・。

お願いすることがかなりあるのに、2人でOKなの?

そもそも、工事をお願いしてから一度も店に来ていません。下見、なし。工事費もやってみないとわからないということで、見積なし。

まずはキッチンカウンターのシンクに下水管・水道管を設置することから始まりました。

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「管をそのまま敷設するとシャッターが閉まらなくなるんですが・・」

ボクが訊ねると、「シャッターは管の分だけ開いたままにしておきましょう。その外にガラス扉が付くんだから、大丈夫でしょう]

シャッターが閉まっていない店。

困ったなぁ。

そこへ、貸主のオヤジさんがやってきました。心配で見に来たようなんですが、

下水工事を一目見るなり、

「これじゃダメでしょう。床を削って下水管を埋めて、シャッターが閉まるようにしないと」

天井板を開けて配線をいじっていた工務店の社長さんが、仕方なさそうにうなずいています。

配水管の太さも長さも、持ってきたものでは間に合わなくなりました。

社長さんはバイクにまたがって、近くに管を買いに走ります。

タイル張りの床を削る作業が始まりました。土煙が店内に流れ込んで、ボクはあわてて棚に載せた食器に新聞紙をかぶせます。

しばらくして戻ってきた社長さんのバイクの後ろには、もう一人の作業員が乗っていました。

やっぱり2人では無理だと思ったのでしょう。

新しく来た作業員の人は、どうやら電気工事を担当しているらしく、早速天井板に張り付きます。

ところが今度は電線を這わせるための釘が足りないらしい。

再び、社長さんはバイクにまたがります。

時間は12時を回っています。まだほとんど作業が進んでいない状態。ボクは少し心配になってきました。

2日前には、今日の工事があるから乾いていないと困るだろうと、店の前の木柵に赤いペンキを塗っておいたのです。

そういう≪あらかじめの準備≫は、普通のことだと思うのですが、

この工事には≪あらかじめ≫は無いようなんです。


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3人になってから、工事は幾分はかどるようになってきました。

社長さんがテレビを壁に取り付けてスイッチを入れると、タイの歌謡番組が流れ始めました。

バイクの人は店内を飾る写真パネルを壁に架けるために、ドリルで穴あけ作業を始めます。

昼飯を食べに自宅に戻っていた貸主のオヤジさんが、再び様子を見に来ました。

「このパネル、曲がってるでしょ。だめだよ、これじゃ」

確かに、パネルのうちのひとつがいくらか傾いています。

バイクの人は不満そうな顔を隠そうともしないで、釘を打ち直し始めました。

社長さんはというと、そ知らぬ顔でバイクにまたがって、またなにやら買いに出かけます。

下水管工事は床を削る作業に手こずっていて、いささか疲れた様子です。

そして、

夜8時半。

ようやく工事が終わりました。

朝の10時に始まって、10時間半。

工事の費用がどれだけになるのか、ボクがおそるおそる訊ねると、

「う~ん、そうだねぇ」

社長さんは少し考えてから、小さな声で

「2,000バーツ」

2,000バーツ!?

大人3人が10時間半働いて、2,000バーツ!?

ボクは申し訳なくて、いくらか多めに支払ったのですが、

訊いてみると、社長さんが1,000バーツ、残りを2人で500バーツずつなんだそうです。

「晩ご飯、一緒にいかがですか?」

そう言って誘ったのですが、

「家で食べますから。 外で食事すると、女房がね、酒飲んだんじゃないか、とか、どこの女が一緒だったのか、とか、うるさいからね」

社長さんがバイクで走った回数、7回。

貸主のオヤジさんが見に来て文句をつけた回数、4回。

そうやってテレビが観られ、水道管から水が流れ、壁には少し曲がった写真パネルがきれいに取り付けられ、

ボクは心から満足しています。



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