やっと重い腰をあげましたか

 


根拠なく不安をあおって商品を売りつける「不安商法」や、恋愛感情につけ込む「デート商法」による契約は、取り消すことができるとする報告書を、内閣府・消費者委員会の専門調査会が4日まとめた。消費者委員会が近く首相に答申し、消費者契約法の改正案に盛り込まれる。改正案は早ければ秋の臨時国会に提出され、成人年齢を引き下げる民法改正案とともに審議される見通し。

  悪質商法による高齢者被害の増加や成人年齢引き下げの議論に伴い、調査会が2014年から消費者契約法の見直しを進めてきた。

  報告書では、消費者が契約を取り消せる「不当な勧誘」の対象に、不安商法やデート商法を追加。「一生成功しない」などと不安をあおり就職セミナー受講を迫る▽消費者と恋人関係になった後で関係解消をちらつかせ契約を迫る--といったケースが対象になる。

  また、消費者が求めていないのに商品やサービスを事前提供して契約を迫る場合も対象に加える。ガソリンを入れるため立ち寄ったスタンドで勝手にエンジンオイルを交換し、代金を請求するケースなどが当たる。



  さらに、無効にできる「不当な契約条項」の範囲も拡大。事業者の損害賠償責任の有無を事業者自身が判断すると定める条項は無効とした。

  一方、今回の見直しでは、「年齢や障害による判断力不足」を理由にした契約取り消し権を認めるかどうかが焦点となった。消費者団体などから強い希望があったが、事業者側の反対で見送られた。【曹美河】

  ことば「消費者契約法」

  消費者保護を目的に2001年施行。事業者がうそを告げる▽消費者の不利益になる事実を隠す▽退去を妨害する--といった「不当な勧誘」による契約は、消費者が意思表示をすれば、契約時点から最長5年間は取り消すことができると定める。16年の改正で、取り消し対象に過剰な量を売りつける「過量契約」が追加された。