昨夜、晩ごはんを食べている途中。

「僕、血液検査をする覚悟ができたよ。」
とはやてがつぶやいた。

ファブリー病の話も、それ以外の病気の話も
何もしていないのに、突然の宣言だった。

「(今の)僕なら、血液検査は大丈夫と
思うんだ。できるよ、僕なら。」
と自分に言い聞かせるように、決意を固めて
いるようだった。

一緒に大学病院に行った夏の日から、
一言もファブリー病のことについて
お互い口にすることもなかった。

あれだけ不安感の強い子どもだった
はやてが、夜眠る前にも何も口にしなかった。
それは、不安感に打ち克ったはやての
心の成長だと思う。

ファブリー病のことは、頭の中にないのかな?
とさえ思えた静かな日々だったけれど、
はやての心の中にはちゃんと
「いつか血液検査をしなければならない」
ものとして、残っていた。

そして、そのタイミングははやてが
決めていいんだということも。

まだ尿検査の結果は出ていない。
来月、私の定期検診がてらに聞く予定。
その日を知らないはずなのに、
はやてから出た言葉。

ちゃんと覚悟を決めてくれたんだね。
ちゃんと覚えていてくれたんだね。

この覚悟の前に、
苦しい日々はなかったかな?
不安な夜はなかったかな?

トラウマになってる血液検査、
自分から「やろう!」と思うまで、
相当な勇気を振り絞ったはず…。

よく頑張ったね。本当に。

ありがとう、はやて。
あの夏の日も、昨日も、
お母さんははやてから大きな勇気を
もらっているよ。

その勇気はどこから沸いてきたのか、
いつか聞かせてほしいな。