はやてにとって、

学校へつながる玄関は、

異次元へとつながる恐怖の入り口のようで。


さっきまで元気だったのに、

玄関に立つとささいなことで気分が苛立つみたい。


「ランドセルが重い!」

「荷物がいっぱい!」

「天気予報で晴れと言ったのに、空が曇っている!」

「くつがうまく履けない!」


私がここで何か声をかけると、

さらにヒートアップさせるので、

最近は私がまず先に玄関を出て、

扉を開け放してはやてを外で待つようにしている。


学校の途中まで送る旅のお供に、

さくらも同行させて。


さくらはさーーーっと外に出て、

「さあ、行くよ~。」

と無邪気に

「お散歩しようぜ!」

的な空気を作ってくれるので、

学校に行くよという重苦しい感じはない(はず)。


玄関を出て、外の空気を吸って、

歩き出して、さくらも交えて話をしだすと、

異次元の空気も薄まるのか、

はやての様子も落ち着いてくる。



頑張れとは言わないよ。

人一倍頑張ってくるのは、よくわかっているから。


もし、できるんだったら、

もっと肩の力を抜いて楽しめたらいいね。


母はいつもそう祈っているよ。