今からちょうど4年前

今の嫁とは彼氏、彼女の関係だったが

結婚することを考え日本に来た。

 

その時は日本語も日本の文化も分からないまま、

嫁との会話は英語。

 

当時は韓国で大学を卒業したばかりで

就職先を探している最中だった。

 

大学では建築について学んでいたが

日本に行くことを決意した時

自分が今まで目標としていた

建築関係の仕事ができなくてもお金がなくても

彼女といれるなら幸せだと思った。

 

韓国ではまだ働いていなかったので

日本に来てお金がほぼない状態だった。

彼女は働いていたが新卒だったので収入も高くなく

自分もアルバイトをしていたが

日本での就職のために日本語学校に通っていたので

なかなか思うようには稼げなかった。

 

そんな時住んだのは

日もよく入らない安い賃貸のアパート。

 

断熱が良くないので寒く

お風呂に震えながら入った。

 

湿気もすごくてお気に入りだったコートも

カビが生えた。

 

収納スペースも足りず

捨てられネーゼの彼女のものが溢れて

喧嘩もした。

 

温かくて広いところに住みたいとは思ったが

今の状態ではただの願望。

 

とても辛かった。

でも彼女と一緒で幸せだった。

 

 

 

半年ほど経って日本語もそれなりに

話せるようになってきた俺は

日本での就職活動を始めた。

 

もちろん建築関係の仕事も視野に入れていたが

働くことを優先していくつかの企業で面接を受けた。

 

 

 

それから半年後

なんと運良く建築会社に就職することができた。

彼女は1度実家に帰り

俺は会社の寮に入って働いた。

 

 

 

入社から1年半後

バイトしたときよりは少し余裕もできた。

彼女と結婚することを決めた。

 

新居は願望だった広めの収納スペースもあって

カビもでない賃貸になった。

これで俺のコートは安心だ。

お風呂でも凍えずに済む。

 

すごく嬉しかった。

これ以上のことは望んでなかった。

 

 

 

それから更に1年半の今

仕事もある程度安定しだし

今住んでいる地域にもなれてきた。

貯金も少しずつ増えてきている。

 

居心地のいいこの家だが

綺麗な街にある大きいテラスと床暖のついた

自分の家が欲しい。

 

色々調べてみたが入社3年目の自分には

ランクを落とさないと少し厳しい。

 

綺麗な街にある大きいテラスと床暖のついた家に

住むためにお金を貯めることを決意した。

 

嫁は結婚してからパートをしているが

コロナや店の事情で今は週2で数時間しか働いていない。

もう少し頑張ってくれたら嬉しい。

直接本人には言わないが。

 

 

 

カビの出たアパートに住んでいた頃は

日本で家を買うなんて思ってもみなかった。

 

人間の欲にはキリがない。

 

J