失語症の家族会の活動も3年を超えて、最近は新たなメンバーが加わってきている

 

 

今日は同じ市内に住む、Sさんご夫婦をKさんといっしょに訪ねた

 

 

Sさんご夫妻は70代で、リタイアを機に岡山に移住されてきた

 

 

最初の数年は楽しく地方ライフを満喫していたが、奥さんの方が先に病に倒れ現在は要介護4で、今月から訪問介護や通所リハビリを受けたりの日々がまさに始まったところに私たちがお邪魔したというわけだ

 

 

お宅は木のぬくもりのある、平屋の和モダンの住宅で、玄関を入ったらご主人の趣味なのか、ジャズの音楽が流れていた

 

 

Kさんも私も夫が失語があるので、なにかヒントになればと、土地勘のない場所での突然の介護にご主人は戸惑っていらっしゃったが、「妻とふたりでできるだけ自然に逆らわず、楽しみももちながら毎日を暮らしたい」とお薬には頼らず、医食同源の東洋医学をメインに闘病生活を送られている

 

 

今まではまったくキッチンに立つこともなかったご主人は「今は僕は彼女のしもべで、償いの日々です」と笑っておしゃった

 

 

介護計画はできて、日常の家事もなんとかこなせている様子

 

 

私とKさんは、たまに訪問して奥様のお話相手をしてあげることが、いちばんいいと思ったので、それを告げると「助かります。本当に見ず知らずの土地で途方に暮れていたので、ありがたいです」とほっとしたのか笑顔になった

 

 

帰り際奥様の手を握ると涙を流して力強く握り返してくれた

 

 

「今月の会に体調が良かったらお二人で出席してくださいね・・・みなさん温かく迎えてくれますから・・・」

 

 

最後はご主人とも固く握手をして別れた

 

 

家に帰って、昔お世話になった県北の町に住む、Tさんのことが急に思い出されて(70代前半のご夫婦ということで似通っていたため)、電話をするとご主人の方が病を機に認知症が進み、今は奥さんのK子さんがご自宅で介護なさっていた

 

 

「○○さんは、ご主人を見始めてどれくらい?」そう、質問された

 

 

「はあ、7年8カ月です・・・私もこの春、体調を崩してようやく、休養の大切さを知りました。今では毎月ショートステイに行ってもらって、自分だけの時間を持つようにしています」

 

 

「私もいろいろと行きたい講演会があるから、毎週金、土と夫をショートステイに預けているわ・・・デイサービスもショートステイも本当にありがたいサービスやね・・・」と関西出身のK子さんはやわらかい口調で言った

 

 

介護にもいろんなスタイルがある

 

 

それぞれの夫婦にそれぞれの介護のスタイルがあっていい・・・

 

 

今日訪問したSさんご夫妻は病院とのやりとりの中で医療不信があって、自然療法を選ばれた

 

 

私たちもただ単に長生きを望んでいるのではなく、できるだけ夫とこの自宅で楽しく暮らせ、いよいよとなったら痛みだけとりのぞいてもらって、無駄な延命治療はしないでねと娘たちにはたのんでいる

 

 

介護も子育てもひとりで抱え込んではいけない・・・

 

 

どれが正解というのはないけれど、自分たちの感性や「好き」や「きらい」は大事にして、介護サービスも利用して、最後の最後までその人らしく生きていけたなら、長さは問題ではないと思う

 

 

今月、もう一度今度はお花でも持ってSさんご夫妻を訪ねたいと思う・・・