3日ぶりに午後から父の見舞いに行くと父はベッドに横になってうとうとしていた

 

 

私が来たのに気づくと起き上がり、ちょっとやせた顔で「ああ、来てくれたん?」と小声で言った

 

 

この1か月の入院で父の体重は6キロも減り、顔も足も手も全体がやせて一回り小さくなった

 

 

今日は売店まで歩いて、いっしょにイートインのコーナーで父は牛乳を私はりんごジュースを飲んだ

 

 

リハビリの話や食事の不満、退院後の生活や孫娘たちの話をして、まるでカップルみたいに寄り添って座る私と父は他人から見たら仲の良い親子に見えるのかもしれない

 

 

以前のような威厳はもう父にはなく、財布の中にいれたお金が7000円も減っているのに、本人は気づいていないし、「あれ?こんだけしかない・・・悪いけどあんた貸しといてくれるか?」と言うので「何に使ったん?7000円も」と尋ねたら「さあ・・・ああテレビカードを買ったわ」とひょうひょうと答える

 

 

「大事に使ってよ、はいじゃあ3000円いれとくからね」

 

 

そう私が言うと父は茶目っ気たっぷりに「つけといてよ・・・それからここの飲み物代も」とおどけて言いながらチューっとおいしそうにパックの牛乳を飲んだ

 

 

「お父さんって牛乳飲む人だったっけ?」

 

 

「飲むよ・・・おいしいよ。今はこれが一番好きやな」

 

 

「今日は食べるもの持ってこれなくてごめんね」

 

 

「いいよ・・・今度来るときはオイルサーディンはもう飽きたから、シーチキンを持ってきて」

 

 

「シーチキン?お父さんそんなの食べるの?」

 

 

「うん・・・食べるよ」

 

 

父の食の好みが微妙に変化してきている

 

 

この前も妹が父が黙って大根の煮物を食べているのを見て驚いていた

 

 

「早く外出許可をもらって美味しいものを食べに行こうね」

 

 

「そうやな・・・外泊もなんでできひんのかな?自分の家なのに・・・」

 

 

母が亡くなったときの10月の父と今の父はなんだか別の人のようだ

 

 

廊下の手すりを伝ってひょろひょろ歩く父の横に立っていっしょに歩きながら、改めて長生きというのもけっこう大変なものなんだなあと思った・・・

 

 

☆今日のレッスンのお花・・・