世襲議員について | 泉忠司オフィシャルブログ ミリオンセラーの泉

世襲議員について

学生から「世襲議員」についてどう思うかと意見を求められました。


まず「世襲議員」=「無能・ひ弱」などと、一くくりにして論ずること自体が馬鹿げています。個人差があるに決まっているわけで、有能な人もいれば、そうじゃない人もいるでしょう。「世襲だから」で十羽一からげにできるはずもない。


要は、地盤や政治資金を相続している世襲議員がいることで、一般の人が立候補しても対等に争えない環境にあるということが大問題。例えば、総理大臣経験者の二世のいる選挙区で立候補しても、一般人はまず勝てないでしょう。北野武さんとか木村拓哉さんくらいの知名度と人気があれば勝負になるかもしれませんが、そうじゃなければ、普通に考えて無理です。


つまり、世襲議員が増えればそれだけ、有能な一般人が政治家になるチャンスが減るというのが問題。そこでよく言われているのが、親の地盤を継がせないように、「世襲議員は国替えさせる」という議論。これもダメですね。

だって、世襲議員と言ったっていろんな人がいるわけです。例えば、知名度抜群の世襲議員もいれば、地元以外での知名度がないに等しい世襲議員もいるでしょう。「国替え」は知名度のない世襲議員にはものすごく不利になります。だって、縁もゆかりもない選挙区から立候補するわけで、そこで立候補している地元の候補者には、少なくとも、家族や親戚、幼少期からの友人たちなどがいますが、国替えした世襲議員にはそれさえありません。知名度があればそのデメリットをカバーできるでしょうが、知名度がない世襲議員にとっては不利になるだけです。ましてや今の風潮からすると、ライバルとなる地元の候補者から「あいつは国替えしてきた世襲議員」と言われれば、強烈な逆風になるでしょう。すると、知名度はないけど有能な人材を、「二世だから」というだけの理由で排除することになりかねない。


この世襲議員の問題はものすごく簡単に解決できると思うんだけどなぁ。



「政治家」=「おいしくない仕事」



にすればいいだけなのです。


どうして二世がたくさん出るのか。いい境遇だからに決まってるじゃないですか。例えば芸能界にも二世タレントはたくさんいます。でも、タレントのお父さんの境遇が、ノーギャラ当たり前、1時間番組に出演しても数千円、仕事のない日はコンビニでバイトしているとして(実際そういうタレントはあまりにも多い)、はたしてその子どもは芸能界に入りたいと言うでしょうか。「ギャラなんてなくてもいい。私は歌が好きなんだ!」「とにかく演技がしたい!」と、よほど志ある人じゃなきゃ「芸能界に入りたい」と言い出さないと思うんですよね。


つまり、国会議員の年収を500万円~600万円くらいにすればいいんじゃないですか。仕事量や内容からすると、きっとかなり辛い年収でしょう。だからこそ、「給料も安くてキツイ仕事だけど、それでも自分は日本のためにやっていくんだ!」という志ある人だけが立候補すると思います。だったら、それが世襲議員でもいいじゃないですか。親の仕事がおいしくないのを誰よりも間近で見ていて、それでも親の志を継ごうというのですから、きっといい議員になるのではないでしょうか。



政治家は給料の多い少ないに関係なく、志ある人だけがやるような「聖職」であるべきなんです。



と言うと、年収が低いと賄賂をもらう奴が出てくる。だからこそ、政治家の年収は高いんだということを言う人がいるのでしょうね。これもナンセンス。年収が200万円であろうが、1億円であろうが、賄賂をもらう人はもらうし、もらわない人はもらわない。個人のモラルの問題です。

「金」を「女」に代えて考えてみましょう。誰もがうらやむ超美人の奥さんがいれば、絶対に浮気はしないで、そうじゃなければ、浮気するんですか? 有名女優や美人モデルの夫が浮気した例なんて枚挙に暇がありません。一方で、まったく浮気をしない人だって世の中にはたくさんいるでしょう。奥さんのレベル云々に関係なく、浮気する人は浮気するし、しない人はしないのです。同様に、高額な年収の政治家が賄賂をもらってきた例も枚挙に暇がありません。一方で、クリーンな政治家だってたくさんいるでしょう。もらう人はもらうし、もらわない人はもらわないのです。


実家の農家を継ぐ子ども、親父の町工場を継ぐ子ども、お袋がやってる町の八百屋を継ぐ子どもなどが圧倒的に減っている一方で、世襲議員があまりにも多いこと自体、政治家がおいしい仕事である証拠だと思うのは僕だけでしょうか。給料を減らしておいしくない仕事にすれば、二世とかそうじゃないとかに関係なく、本当に志ある人だけが残ると思うんですよね。