- 岡嶋 二人
- クラインの壺
上の写真は去年発行された講談社文庫版ですが
私が読んだのは15年以上前の新潮文庫だったので、タイトルではそう書いています。
ゲームの原作者・上杉は、
とあるゲーム会社から原作権の譲渡とゲーム試作品への協力を依頼される。
そのゲームというのが、「完全バーチャルゲーム」。
つまりゲームの中で自分が実際に動き、感じ、ものに触れるような感覚を味わえるようなものなのだ。
あまりのリアルさに興奮を隠せない上杉だが、
実際に体験を重ねるにつれてある疑問が沸き起こる・・・というお話。
いやー、恐ろしかったです。
ミステリーというより、後半は心理サスペンス的だった。
ゲームの中でも実世界と同じ様に五感を使える、という設定だけど
実際こんなゲームがあったらどう思います?
画期的というか、ゲームの常識が全部覆っちゃうよね。
○ボタンはキック、というような操作じゃなく、
走りたいときは実際に走る動作をすればゲーム内で走ってるし、
ゲーム上に出てくるアイテムに手を伸ばせば実際に感触を感じることができるんだもの。
でもだんだん現実とゲームの境目がわからなくなってきて、
そしてある日、一緒に試作品のバーチャル実験をしていた女性が行方不明になる。
自分が今存在してる世界は現実なのか?ゲームなのか?
だいたい本当に自分の協力していることはゲームの開発のためだけなのか?
自分が見たとおもっていた女性は現実なのかバーチャルなのか?
色んな疑問が次から次へと沸き起こりながらの後半なので、後半は一気に読めちゃいます。
ラストも衝撃!
っていうか私でもこうなるかな。
今が現実の世界だということをしっかり頭に留めておかないとならないんだけど、
ゲームと現実の差がわからなければ、
自分がどっち側にいるのかもわからなくなってしまうものね。
今後の人生がメビウスの輪のような状態になってるってことですよ。
ラストを読んでつい、
輪の中をひたすら走り続けるモルモットを思い出した私(--)
正気なんか保っていられないよ・・・
15年以上前の作品なのに、今読んでも斬新なストーリーだと思います^-^