岡嶋二人 「チョコレートゲーム」 講談社文庫 | 無節操ニンゲンのきまま生活

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2015年2月よりイギリス・オックスフォードの近くで生活しています

岡嶋 二人
チョコレートゲーム


岡嶋二人作品、初体験です。

とりあえず読みやすそうなタイトルだったので(笑)


作家の近内は妻と一人息子・省吾との3人家族。

その省吾の様子が最近おかしいなと感じていた頃、

省吾の中学校で殺人事件が起きる。

殺人のナゾと省吾の関与を解明しようと決意した矢先に第二、第三の事件が。

息子の名誉回復をかけて、「父親失格」だった近内が事件の解明に乗り出す・・・というお話。


あっという間に読んでしまいました。

ミステリーとしては王道を行くような展開なんだけど、

まったく飽きさせないスピードと新たな展開のテンポ。

素晴らしくよくできたミステリーだと思います。


なぜ殺人が起きたのか?

なぜ級友たちは口をつぐんでいるのか?

チョコレートゲームとは何か?

1つのナゾが解ければ新たなナゾが出てきて・・・と

犯人がわかった後もなお、新たなナゾが飛び出てきておもしろい!


今まで息子に構っていなかった父親が、

突如全身にアザを作り、あからさまに父親に反抗し、

挙句の果てに無断外泊をするようになった息子の変化にとまどいます。

そして自分の慢心からきた息子への態度が取り返しのない事態になってしまう。


そんな自分への痛烈な反省が

事件を解く強い意思に変わっていくんだよね。

その父親としての責任感が最後まで崩れていないところに

この話のもう1つの魅力があると思います。


トリックで魅せるというよりは、

家族愛で魅せるミステリーかな。

愛する息子を最後まで信じた先に待ってるもの。

ラストの犯人と対峙する近内の姿に感じ入りました。

犯人も手段こそ違ったけど、「家族愛」の末の犯行だったんだよね。


ところで岡嶋二人って、本当に「二人」の作家さんなんですねー。

全然知らなかった。

藤子不二雄と同じだね^-^

しかももう解散して、別々の作家活動をなさっているとか。

もっと読みたいな~。