司法書士の債権管理の比較のつづきです。
比較するのは、ネットで債権管理業務をおこなっていると公開している下記の事務所です。
比較検討するのは、次の司法書士事務所だ。
・手続代行型 アトラス総合事務所
・中間型 債権回収ゴットハンド (司法書士 幸津・上野事務所)
・成功報酬型 司法書士法人 星野合同事務所
次は成功報酬型だ。
これは、世界標準のコレクションエージェンシーを目指したものだ。
債権回収は、より多く・より早く・より安く 回収するのが大事だ。
日本人の多くは、未収債権は回収されて当然と思っている。
しかしながら、この金融危機であきらかになったように、巨大企業でも倒産し回収不能になることがあり、延滞債権になった段階から、回収にむかって最大の努力を傾けねばならない。努力なしに債権回収はありえない。
その際、プロの手助けを求めるのは大切なことだ。
そこで、成功報酬制を基礎とした債権回収代行業がでてくる。
この成功報酬制を始めてネットで公開した司法書士が、星野合同事務所だ。
着手金は12000円、これで内容証明と督促手続をおこなったうえ、回収できた場合の成功報酬率は30-40%だ。
これらの手続費用としては破格な料金で、手続代行をメインにしているアトラス事務所の1/3以下だ。成功報酬がとれなければ赤字になる。その意味でリスクをとったビジネスだ。
問題は、督促手続をして異議が出れば取り下げるとしていることだ。督促手続の沿い武者の異議に要件はほとんどない。「今支払えません」というのも異議であり、通常訴訟に移行する。仮に、債務者が債務の存在を認めたとしてもである。この異議に対して、すぐ取り下げるというのは、法律家としていかがなものか。法的手続を行う以上、少なくても債務名義取得までは責任を持つべきではないのか。
また、着手金が12000円であるので、成功報酬を考えると依頼債権額は10万円程度は必要だろう。
次に成功報酬制を採用したのは、利根川事務所だ。
ここは、ほぼ完全な成功報酬制で着手金は2000円、成功報酬率は35%だ。
任意回収から法律家が関与し、任意交渉の結果、法的手続をとる必要がある場合のみ30000円の法的手続料が追加される。いわば、債権者に代わって回収をはかることを実践している。
内容証明や任意和解契約書の作成などは、任意交渉で必要と認めた場合のみ作成される。ただし、作成手数料はとらない。その結果、依頼債権は10000円からだ。
従って、大量小口債権を扱うことを前提としており、その管理のためにシステムを導入したようだ、この債権管理システムは信販会社やサービサーなどが債権管理用に開発してものと同じようなものだろう。設備投資もした上で、債権回収業務に本気で乗り込もうという意欲が感じられる。
問題は、最初の依頼に契約金という名の料金が60000円必要なことだ。最初だけなのだが。
この料金を設定することで、債権の数が1-5件程度では、星野事務所の方が安くなる。
その意味で、継続的に未収売掛金が発生するBtoC企業以外は相手にしないと宣言しているのかもしれない。
それと、事務所の規模が不明で本当に大量の債権を扱えるのかがわからない。その意味では中間型の債権回収ゴットハント゜と同じ危惧が感じられる。ただ、霞ヶ関ビルに入っている事務所なのでそれなりの規模と予想はされるのだが。
とはいえ、法的手続を前提としないことにより、より多く・より早く・より安く回収するという、債権回収の目的は達成される可能性は高い。30万円以下の債権を多数依頼するには良いと思う。
以上の検討を前提とした、依頼者にとってお得な事務所はどこかについては次回。