チェコの人形劇映画。

少年オンドラが大事にしていたクマのぬいぐるみクーキーは,オンドラの喘息に良くないということで捨てられてしまう。

オンドラは夜中にコッソリとクーキーをごみ置き場から拾ってきたはずなのだが翌朝起きてみるとクーキーがいない。夢だったのかもと窓の外を見ると,丁度ゴミ収集車が発車したところだった。

 

仕方ないのでクーキーがごみ処理場で処分されてしまわないよう祈ると,奇跡が起こり,踏みつぶされる直前のクーキーが動き出した!!

 

クーキーはオンドラの元へ無事帰れるのか?

 

なんとも不思議な作品だった。

 

クーキー自体もヘナチョコ感漂うデザイン(自称赤なのだが,周りにはピンクと言われるほど色あせている)なのだが,森の妖精的なのもみんなゴミを使って作ったのでは?という小汚いデザイン(笑)

 

そのくせ動きは結構良く,特にカーチェイスのシーンとかの出来は妙にリアルで,素晴らしい出来だったりして。

 

ストーリー的にはクーキーをごみ処理場に連れ戻そうとするペットボトル刺客との追っかけあいと森の妖精の村長の座を巡った争いがメインだったりするのだが,妖精とか鳥が意外と薄情だったりするのはお国柄なのだろうか。

 

クーキーの声を当てているのがオンドラ役の少年なので,クーキーの冒険は彼の夢なのかな?とか思ったりするのだが,終盤での現実とのリンク的なシーンで「あれ?」と思ったりする。チョット「はてしない物語」風味な気もしなくもない。

 

一応「大人になって失ってしまうもの」とか輪廻転生的なモノがストーリーの裏に流れているっぽいのではあるが,微妙すぎて胸を打つほどでもなかったかな。ただ,序盤のごみ処理場でおもちゃが踏みつぶされる場面とかが妙に胸が痛かったり怖かったりしたのは自分にも子供の心が残ってるからだろうか。この手のは観ててホント辛い。

 

最後の方のホームレス的な男とのやりとりも少し意味深だったけど,何を言わんとしているのかはよくわからなかった(苦笑)

 

あと,音楽が妙に耳に残った(笑)かなり好みかも。

 

ちょっと調べたところ,チェコでは人形劇が盛んらしく,その理由が「外国に占領されている時代に人形劇以外でチェコ語を禁止されていた」というものらしいので,この表現(人形劇)には監督的には何か思い入れがあるのかもしれない。

 

へなちょこ感をゆるゆると楽しもうと思うと意外と本格的という感じの作品。ただ,突き抜けた面白さがあるわけでもないので暇つぶしに観るといいと思う。

 

(6/10点)