7/9(火)

今日の午後は楽庵の陶芸メンバーがご指導いただいている陶芸家・福岡琢也さんの来館日である。

ワタシ偏屈堂はこのところ、作る陶器の種類が同じようなものになっている。

ワタシ偏屈堂は執着・執念も凄いが、大いなる多動性も持ち合わせているため、飽きも出てきている。

そして、良くも悪くもマンネリズムも出てきている。

 

陶芸家の福岡さんから何か新しいことを教わって、今まで作ってきたもの+αを目指すことでアタマのゼンマイを巻きなおそうと思ったのだ。

そのため、午前中で、昨日の仕掛品を完成塑形にもっていこう。

 

昨日の6品、見た目に厚みのムラがないか、変な凹みがないか、そして手に取ったときに変な重みがないか確認しながら、少しづつ削っていく。

 

見た目がバランスよくても、不要な粘土が付いている箇所に重みを感じるので、そこを削る。

面白いことに、誤って削り過ぎてしまうと、全体が軽くなったと思うより、バランスが崩れて、新たに余分についている部分があると感じる。だから慎重に作業してしあげた。

※個別の詳細は後で記載。

 

第一話 お手本とコンナニ違う山茶碗

 

昼の休憩時間に、陶芸の本をみたり、ネットを観たり、あるいはこれまでつくってきたものを検討した結果、ある意味、一番ポピュラーなものをつくってなかったことに気づいた。

ご飯茶碗(飯茶碗)である。

 

午後、福岡さんが来た時に、ご飯茶碗を作りたいので教えてほしいと申し出た。

福岡さんから、お椀の型にいれるか、手びねり(手ろくろ)でつくるかと問われたので、「手びねり」でとお願いした。

 

最初は、福岡さんが要所要所の作業を見せながら、ワタシ偏屈堂に手を出させて作っていく。

紐作りで手ろくろをゆっくり回しながら積み上げ、陶芸用のへらで形を整えながら、なめし皮で仕上げていく。

今日の段階では柔らかいので、一晩寝かせて生乾きにして内側を削り、再度なめして完成という流れである。

 

やっぱり、今日、福岡さんに教わって良かった‼

 

改めてワタシ偏屈堂は、陶土を扱うときに必要以上に力が入っていることを福岡さんが教えてくれた。

また、ワタシ偏屈堂は手の体温が高いので手早く作業をしたほうがいいとも教えてくれた。

(手を濡らしながらやったらどうですかと福岡さんに問うてみたら、手早く作業すればいいとのこと。無駄に陶土に水分を増してしまうと良くないらしい)

 

そして、福岡さんが、手ろくろを回すときのスピードをみた。ワタシ偏屈堂より福岡さんはゆっくり短いストロークで動かしていく。

これは発見‼

確認したところ、福岡さんはいつもこのくらいのスピードとのこと。

 

こうして、粗粗の容ができたら、陶芸用のへら(手のひらより二まわり小さい涙型・ミジンコ型のもの)で内側を触れるぐらいの感覚で当ててろくろを軽く回しながら胴の部分を押し広げていく。

 

なぜか、あまり陶芸用のヘラを楽庵のメンバーは使ってないので「新兵器ゲットだぜ」☺️

 

ヘラの当てかたは、寝かせて斜めに入れるのではなく、立てに当てる❗️

なるほど‼️

 

ヘラの当てかたと紐作りの段階で如何に内側に分厚く積み上げることで、「胴(鉢)の拡がり方」が決まる。

理屈はわかったぞ~⁉️

 

やがて今日できる範囲までのものが仕上がる。

美しい・・・

スパイシーバ・ハラショー!

 

と思わず叫びたくなるような出来栄え。今はやりの言葉でいえば「バエル」かな。

さすがに福岡さんが手を入れてものである。

モノが違うのである。

 

次はワタシ偏屈堂が単独で作ってみる。

そこで、早速問題である。

実は、偏屈堂がマスターしている「紐作り」は、福岡さん直伝だが、「ヨーロッパ式」(⁉)である。ここで使う紐作りは「和様」なのである。

普通、陶芸教室で教えられる紐作りは、一般に「和様」なのである。

だから、慣れないので上手くいかない。

 

仕方なく、「ヨーロッパ式」で粘土を積み上げる。

「ヨーロッパ式」は、単純積み上げ式なので、上下に組み上げていく「和様」にくらべると

よわいので、積み上げた跡を潰して強度を増すようにと、福岡さんから指示を受ける。

 

さっきと同じ手順でやって、胴(鉢)を拡げていく。

出来上がったのが、これ

むぅ~・・・。

全然違うぜ・・・。

現代のご飯茶碗ではない。

時代劇で、地侍とか浪人、山賊が濁酒(どぶろく)をこの器で飲み干しながら、その合間に飯をこの器で食っているイメージだ。

黒沢明監督の「七人の侍」、数年前の大河ドラマ「平清盛」にでてくる野武士にピッタシだ。

 

ワタシ偏屈堂は、思わずボヤいた。

「なんか、さっきの(美しい)茶碗とは、えらい違いだ。(ご飯)茶碗に見えないや。」

 

福岡さんは、常滑焼の陶芸研究所(常滑市立とこなめ陶の森陶芸研究所)で修業された方である。

その福岡さん曰く、『常滑の古い「山茶碗」に似ているよ」となぐさめられた。

 

初めての体験で上手くいったら、つまらない。

ここから、自分のものにしていくから、面白いのである。

思い出した、このブログは「陶芸奮闘記」である。

新たなる闘志で頑張るのだ❕

 

第二話 福岡さんが話してくれた陶芸豆知識

師匠・甲さんが、マグカップの完成塑形をやすり掛けをしていた。

しかし、削り過ぎてピンホールがあいてしまった。

 

師匠・甲さんは、口癖の「形あるものは、壊れる。しゃーない」と、さして執着もなく、さらりと言った。

 

同じことがワタシ偏屈堂に起きたら、多分いや絶対、暗~い「情念の鬼」と化して「悔しさオーラ」を全身から発するであろう。

このおおらかさ、羨ましいと思っていた時

 

「もったいないよ。これぐらいの穴だったら直せるよ」と福岡さんから声がかかった。

 

おやおやと、ワタシ偏屈堂は思わず耳をそばだてる。

そばだてるどころではない。明日は我が身かもしれない。

ワタシ偏屈堂の耳は思わず「耳デカくなっちゃった」(マギー審司の東急ハンズグッズ・マジックか)といきたいがそうはいかないので、耳をダンボ(古い。古すぎる。昭和30年代だ)にして、二人の会話を聞いていた。

 

福岡さん曰く、「今回のように、(完成塑形を)やすり掛けして出た粉を、釉薬の接合剤である「CMC」で練り込んで、筆の先などで適量、ピンホールに付ければよい」と言って、CMCを練り込んだ削り粉を付けて補修した。

 

福岡さんは、常滑で修業していた頃、(常滑焼で)オブジェを作っている連中から教わったそうだ。

オブジェは一点物なので、ちょっと欠いた、キズがついた、ヒビが入ったからって、そう簡単にはあきらめられない。だから連中はこの手の補修のテクニックは、(福岡さんら)俺たち食器づくりより上手いとのことだ。

 

この話は、ワタシ偏屈堂にとっては、「京の昼寝、田舎の三年」である。

このことわざは、「田舎で三年間、独学で一生懸命して得られた情報量と、京の都で昼寝しながら聞きかじった情報量と変わらない。情報・知識を得るには実は場所も大事」ということである。

 

やっぱり「集団」に身を置くというのは大事なのだ。

 

第三話 7/9(火)の完成塑形

1.花筏 大判サイズ丸皿

(写真2枚 上・真上から 下・斜めからのアングルで)

仕上げるときに一番気を遣う作業は、「型から取り外したあと、裏側を整形する」ことである。

裏を整形するときに、ろくろに伏せて作業するときに、力が変な風にかかると、「ボコっ」と折れたり、割れたりする。

だから、ここまでくると簡単には薄く削れない。

薄く削り過ぎた場合、立ち上がた縁側が「くたっ」と下がってしまう。

そうなったら「悲しい」

つい我が身と重ねて・・・ヤカマシイわい。

だから、整形はいいが、軽量化にはつながらない。

まぁ、今回は皿本体が床に直置きにして、多少の自重は必要と自分に言い聞かせている(苦笑)。

 

2.花筏 方皿

菓子皿、ちょとした副菜、おつまみを容れる器。

小さくても、お客様のいろいろな使い方に合わせられる汎用性を持たせた。

だから、このお皿の用途はアナタ次第です。

 

2.さくら文様 煎茶茶碗

今回もヨーロッパスタイルの紐つくりでこさえたが、表面の仕上げを考えると「和様」の紐つくりで作ってみてもいいかもしれない。

次回、ジャパニーズスタイルの紐つくりで挑戦だ!

 

4.特盛りラージサイズ・ビアマグカップ(写真上)

5.ラージサイズ・ビアマグカップ(写真下)

マグカップは、表面に紐つくりの積み上げ跡が不思議な味となる。

個人的な好みとしては。

でも、和様の紐つくりで、積み上げ跡がないのも試しに作ってみよう。

 

6.育ち盛り応援団・スーパーラージ・コーヒー

 

このコーヒーカップシリーズも、「和様」の紐つくりで今後は作ったほうが良いかも。

 

                                                          

<完>