真の癒しとは？【魔法使いと、金の杖(後編)】

この物語には前編がございます。
(・ω・)/→魔法使いと、金の杖(前編)






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「私は知ったのです」
小さな男はか細い声で言いました。




「私が杖を振ると、枯れていた草木は立ち上がり、
ケガをしていた動物は治り、
死にかけていた鳥が飛びました。




それは私にとって信じられない力でした。

最初の一年目、

私は幸福に満たされて森の中で過ごしました」

「けれど翌年、

私にはそれが本当に正しいのかわからなくなりました。

あらゆる者の病を直し、

あらゆる者を生き返らせることが

本当に正しいことでしょうか？

私には判断つかなくなりました。
私の心は揺れました」





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「そして、三年目になると、

私の心はもっともっと悩みました。

もし私の力を人が知ったら、
死を避けたい人々が私のところに来るでしょう。

そしてそれを叶えた時に・・・

私はどうなってしまうのでしょうか？





皆からもてはやされ・・・

その上たくさんのお金がやって来た時、

私はそれに勝てるでしょうか？
私の心は弱いのです」






男はポタポタ泣きました。






「私は誰も従わせたくありません。

私はその存在そのものが、

そのものの魂の意図において、

生きていて欲しいと願うのです。

私の祈りは愚かでしょうか？
どうか、聖霊よ、

私の杖を取り上げ、

私の力を封じて下さい・・・」





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小さな男の指先は震え、

銀の杖を精霊にさし出そうとしていました。




皆、かたずをのんで見つめています。





　　　◇





精霊はしばし黙って彼を見、

やがて静かに言いました。





「安心するがよい。
祈りはあなたを導くであろう。
祈りはあなたを守るであろう。






そなたの愛の意図である

“真の祈り”が揺るがぬものとなった時、

銀の杖は金色に変わり、

その魔法を創るだろう。





真の祈り・・・。

それは自他を越えた強い愛の想いである。
いかなる時空、

いかなる次元をも越えてゆく・・・」

 

精霊が黙ると、

そこには静かすぎる夜がありました。
かがり火だけがパチパチ火の粉を飛ばしています。




　　　　　　　　　　　＊




「金の杖に不可能はない。
だからこそ“真の祈り”

に貫かれた者にしか持つことは許されない」





三人の男は目を見開いて精霊を見つめました。




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「“真の祈りに貫かれた者”

それこそが最も強い魔法使い。

パワーが強い者ではないのである。

そのことをけして忘れないように・・・」





 

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精霊が大きく揺れると、

森に夜風が起きました。
かがり火は消えそうなほどあおられています。






精霊はさらに大きく輝いて、

やがて霧のように消え失せました。






 

 

その言葉だけが、

人々の中に留まりました。

森が静かに・・・鳴りました。






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　　　　完

 

Copyright © utamaro Izumi 2015,All Rights Reserved.

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いかがでしたか？

この物語は２０１５年に執筆しています。

以下は２０１９年時点での私の考察です。

２０１２年〜２０１３年を境に起きたアセンションは、
春が来た時新芽が出る状態と同じに、
多くの人が

見えない世界への視力を得ました。

＊

それはアート、ヒーリング、

過去生や未来生を見通す視力などなど
様々な方向の可能性を開くものでした。

＊

ところがその幼い芽の段階の人に対し、
コンサルはこう言いました。



「あなたはものすごい力のあるヒーラーなのです。
そんな値段でセッションしている場合ではありません。

あなたはすでに３万の力があります。
お客がついたら、５万にしてください。
その次は１０万、その次は３０万、
その次は１００万です。

さらに、
メソッドを立ち上げ、

生徒を作り、テーチャーを養成するのです。

僕がブログ集客の方法、

効果的なホームページの作り方を教えます」
　

＊

こうしてまだ力量も伸びておらず、
真の癒しには程遠い、
幼い蕾のヒーラーは、
料金設定だけが先走り、

突如自分が

「私、ヒーラーだったんだ！！」

・・・と

早合点しました。

もちろん自負心を満足させられるものでもありました。
　

＊

そして、
自らの可能性を大切に育てる時間と努力を費やさず、
硬くて青い蕾のまま高額で売ろうとしました。

当初売れ行きが良いように思えましたが、
それは尻すぼみに終わりました。
　

なぜなら青くて硬い蕾を買った人のところで
それは開花しなかったからです。

　
＊




なぜこのようなことが起きたのか、
これも「ヤミノモノタチ」の

策略が功を奏したからです。

人間の自負心・傲慢さを煽り、

自己陶酔、自信過多にさせました。

＊

本来であれば見えない力は、
地上全体、動植物全野のために

開かれつつあった力でした。

つまり、

自分から世界へ→のベクトルだったのです。

＊

ところが、

自分自身のエゴを満足させる方向に
いつの間にかすり替えられ、
結局は見えない力が

地上に役立たないように仕向けられました。

＊

ベクトルを逆に用いた、

多くの幼い蕾は立ち枯れたのです。



彼らが自分のエゴを満足させる方向ではなく、
地球全体のために尽力していたら、
彼らの力は本当に開かれ

地球は恩恵を受けたでしょう。

そして彼らは「真の癒し」が何か

その時知ったと思います。

＊

私は当時：２０１５年時点で溢れるほどいた
チャネラーやヒーラーの若い芽たちに

受け取って欲しい願いを込めて
この物語を書きました。

＊

でも残念ながら彼らの多くが、
立ち枯れ路線に消えたのです。

でも、本番はこれからだと思っています。

＊

天から授かった個人個人の特別な才能は
諸刃の刃。




もしその才能を地球全体、

全ての者たちのために使えば、

とてつもなく大きな貢献になり、
本人自身も歓びに満たされ、
人生は祝福されたものになる。

なぜなら天から来た力なのだから、
地と天へ循環するのが道理。

＊



でももし授かった才能を、
自分の虚栄心やうぬぼれを満足させるためや、
人々をコントロールするために使ったら、

パワーは地に落ち、
力は腐り、
自らも堕ちることになる。

私たちはその典型的実例を
オウムの麻原氏で目の当たりにしました。




稀有な力は地上に貢献するためのもの。
個人の所有物ではない。

私の案じたこと、願ったこと、祈りは

２０１５年も２０１９年も

そしてこれからも同じです。

それではまた。

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初めましての方へ、

泉ウタマロは作家、アーチストです。

よろしくお願い申し上げます。