【釣りする二人】
 
 ストーリー・挿画:泉ウタマロ
 

 


 
 

 

 

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「俺をひどい目に合わせやがって!!」
 
 
ある男性が怒りにグラグラ揺れていました。
 
 
 
 
彼は森の入り口に立ちつくし、
自分自身の人生がメチャクチャなことに腹を立てておりました。
 
 
 
 
ふと見ると、足元に金属バットが落ちています。
 
「そうだ・・・。あいつをこれでぶん殴ってやろうじゃないか!」
“あいつ”というのは、いわゆる“神、兼、創造主”のことでありました。
 
 
 
 
彼がそのバットを拾い上げると・・・
それはウソのように軽いのです。
 
見た目は頑丈な金属でしたが、
実際はプラスチックの偽物でした。
 
 
 
 
それでも彼はそれを持ち、森の中へと入りました。

 

 
◆◆◆◆◆◆◆
 
 
 
 
 
夏の森はご機嫌な晴れの日でした。
チラチラ木漏れ日が落ちております。

 
 

 

 
 
 
怒りの彼は“神、兼、創造主”を探して進みます。
しばらく行くと、とうとう見つけたのでありました。
 
 
“神、兼、創造主”がいたのです。
小さな池に細い釣り竿をむけて釣りをしている最中でした。
 
ところが、その姿は少~し滑稽でありました。
 
 
なぜなら、小太りのハゲオヤジだったからです。
 
 
さらにその風貌にはとても不釣り合いな服装でした。
 
 
ギリシャ神話に出て来そうな、
ドレープのついた白い≪神様的衣裳≫でありました。
 
 
 
 

 

 
 
 
 
ハゲオヤジである“神、兼、創造主”は、
バットを持った彼に背を向け、釣りに集中しておりました。
 
 
これは思ってもないチャンスです。
彼は抜き足差し足で近づきました。
 
 
 
そして金属バットを振り上げ、
(実はプラスチックでしたが)を思いきり振り下ろしました。
 
 
”ボコッ!!”
 
 
「イデッ!!」
 
 
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物語は後編に続きます。