「これが本当に呪文なのかは知らないわ。
・・・でもなぜかしら。
今、はっきりと思い出したの・・・」
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
この物語は魔法使いと少女の物語です。
1~12章(各章20秒で読了可能)
はじまりはこちら→魔法を売る町1
(*゚ー゚*)
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
店内は【秘密を明かしたくなる魔法】で満ちていました。
彼女は魔法使いの動揺には気がつかず、
うれしそうに続けます。
「これが本当に呪文なのかは知らないわ。
それに随分忘れていたし・・・。でもなぜかしら。
今、はっきりと思い出したの・・・」
娘は目を閉じ、唱え始めたのでした。。。。
『汝、我を我と思う者・・・・・・』
娘が冒頭を語り出した時、
魔法使いは凍りついたように動けなくなりました。
それは彼の家系に代々伝わる、
最大の極秘呪文・・・『真実の自分になる魔法』と
出だしが同じだったからなのです。
◆
魔法使いは自分を落ち着かせようと思いました。
”まさかな・・・・この娘が知っているわけがない・・・”
そして自らの中でつぶやきました。
”汝、我を我と思う者・・・・・”
すると・・・娘も目を閉じたまま、冒頭から繰り返します。
『汝、我を我と思う者・・・・・・
我を呼び・・・』
魔法使いは驚きで、身動きがとれなくなりました。
娘が『真実の自分になる魔法』を唱えてしまうと察したからです。
=突然、時空が間延びしました。
世界の時間がごくゆっくり・・・と流れます=
魔法使いは彼女の言葉を封じることもできません。
=店内は【秘密を明かしたくなる魔法】で満ちていました=
彼女は顔を上向き気味にし・・・・
頬を紅潮させ・・・
うっとりした微笑みをたたえ・・・
瞳は閉じたまま・・・
文言を続けていきます・・・。
『汝・・・我を我と思う者・・・
我を呼び・・・・・我を使う!』
次の瞬間、水晶珠が虹色の閃光を発しました!
それは目を射抜くようなすさまじいパワーを秘めています。
あまりのまぶしさに魔法使いは目を覆い、
額縁に入っているご先祖たちも、大焦りでサングラスをかけました。
シャンデリアも驚きのあまり、すべての灯りが消えました。
++++++
そして・・・どれだけ時間がたったことでしょう。
=徐々に時空はいつものペースになりました=
++++++
ようやく魔法使いが指の間からのぞき見ますと、
娘の体全体が輝く虹色を発し、そこに立っていたのでした。
水晶は、彼女の光を増幅して放射していただけだったのです。
彼女自身はまぶしくないようでした。
興味深げに水晶珠に見入っています。
珠は光を発しつつも、
像そのものは、この娘が”ただの人間でしかない”ことを、
はっきりと現しておりました。
+◇+◇+◇+◇+◇+
そしてあの言葉はいったいなんだったのでしょう?
それは呪文も魔法もはるかに超えた、
【命の源の言葉】でありました。
けれどあまりにも忘れられていたために、
それを欲する者さえいませんでした。
魔法族のごく一部だけが、
それを覚えていたのですが、
人々がそれを忘れていた方が、魔法使いたちは儲かりました。
ともかく、言葉に秘められていたのは、
全てに勝るパワーでした。
パワーが解き放たれたのです!!
+◇+◇+◇+◇+
茫然と立ち尽くす魔法使いは、
肩の鋭い痛みで”ハッ”としました。
彼が肩のフクロウに目をやったのと、
フクロウが身を低くして羽を開いたのは同時でした。
◆◆◆◆◆◆◆
その時フクロウの眼(まなこ)に光が宿り、遠くを鋭く見つめました。
失われていた高貴な魂が目覚めています。
フクロウは再び、天からの詩(うた)を聞いたのでした。
◆◆◆◆◆◆◆
”飛ぶつもりか?!”
魔法使いは一瞬思い、すぐに冷たく否定しました。
”呪文で封じたあの頑丈な扉を通れるわけがない・・・”
それでもフクロウは飛び立ちました。
そして黒塗りの重厚な玄関扉に向かったのです・・・・
=再び、時空が間延びしました。
世界の時間がごくゆっくり・・・と流れます=
◆◆◆◆◆◆◆
扉めがけて飛ぶフクロウは・・・・・・
風の詩を思い出し・・・・
*
草の匂いを全身で吸い・・・
遠い森と、山を見つめて・・・
雨粒の歓びを羽で受けとめ・・・
*
自由と祝福に満たされ・・・
飛翔したまま・・・
脆弱化(ぜいじゃくか)した、扉の粒子を・・・
通過・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・でもなぜかしら。
今、はっきりと思い出したの・・・」
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
この物語は魔法使いと少女の物語です。
1~12章(各章20秒で読了可能)
はじまりはこちら→魔法を売る町1
(*゚ー゚*)
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
店内は【秘密を明かしたくなる魔法】で満ちていました。
彼女は魔法使いの動揺には気がつかず、
うれしそうに続けます。
「これが本当に呪文なのかは知らないわ。
それに随分忘れていたし・・・。でもなぜかしら。
今、はっきりと思い出したの・・・」
娘は目を閉じ、唱え始めたのでした。。。。
『汝、我を我と思う者・・・・・・』
娘が冒頭を語り出した時、
魔法使いは凍りついたように動けなくなりました。
それは彼の家系に代々伝わる、
最大の極秘呪文・・・『真実の自分になる魔法』と
出だしが同じだったからなのです。
◆
魔法使いは自分を落ち着かせようと思いました。
”まさかな・・・・この娘が知っているわけがない・・・”
そして自らの中でつぶやきました。
”汝、我を我と思う者・・・・・”
すると・・・娘も目を閉じたまま、冒頭から繰り返します。
『汝、我を我と思う者・・・・・・
我を呼び・・・』
魔法使いは驚きで、身動きがとれなくなりました。
娘が『真実の自分になる魔法』を唱えてしまうと察したからです。
=突然、時空が間延びしました。
世界の時間がごくゆっくり・・・と流れます=
魔法使いは彼女の言葉を封じることもできません。
=店内は【秘密を明かしたくなる魔法】で満ちていました=
彼女は顔を上向き気味にし・・・・
頬を紅潮させ・・・
うっとりした微笑みをたたえ・・・
瞳は閉じたまま・・・
文言を続けていきます・・・。
『汝・・・我を我と思う者・・・
我を呼び・・・・・我を使う!』
それは目を射抜くようなすさまじいパワーを秘めています。
あまりのまぶしさに魔法使いは目を覆い、
額縁に入っているご先祖たちも、大焦りでサングラスをかけました。
シャンデリアも驚きのあまり、すべての灯りが消えました。
++++++
そして・・・どれだけ時間がたったことでしょう。
=徐々に時空はいつものペースになりました=
++++++
ようやく魔法使いが指の間からのぞき見ますと、
娘の体全体が輝く虹色を発し、そこに立っていたのでした。
水晶は、彼女の光を増幅して放射していただけだったのです。
彼女自身はまぶしくないようでした。
興味深げに水晶珠に見入っています。
珠は光を発しつつも、
像そのものは、この娘が”ただの人間でしかない”ことを、
はっきりと現しておりました。
+◇+◇+◇+◇+◇+
そしてあの言葉はいったいなんだったのでしょう?
それは呪文も魔法もはるかに超えた、
【命の源の言葉】でありました。
けれどあまりにも忘れられていたために、
それを欲する者さえいませんでした。
魔法族のごく一部だけが、
それを覚えていたのですが、
人々がそれを忘れていた方が、魔法使いたちは儲かりました。
ともかく、言葉に秘められていたのは、
全てに勝るパワーでした。
パワーが解き放たれたのです!!
+◇+◇+◇+◇+
茫然と立ち尽くす魔法使いは、
肩の鋭い痛みで”ハッ”としました。
彼が肩のフクロウに目をやったのと、
フクロウが身を低くして羽を開いたのは同時でした。
◆◆◆◆◆◆◆
その時フクロウの眼(まなこ)に光が宿り、遠くを鋭く見つめました。
失われていた高貴な魂が目覚めています。
フクロウは再び、天からの詩(うた)を聞いたのでした。
◆◆◆◆◆◆◆
”飛ぶつもりか?!”
魔法使いは一瞬思い、すぐに冷たく否定しました。
”呪文で封じたあの頑丈な扉を通れるわけがない・・・”
それでもフクロウは飛び立ちました。
そして黒塗りの重厚な玄関扉に向かったのです・・・・
=再び、時空が間延びしました。
世界の時間がごくゆっくり・・・と流れます=
◆◆◆◆◆◆◆
扉めがけて飛ぶフクロウは・・・・・・
風の詩を思い出し・・・・
*
草の匂いを全身で吸い・・・
遠い森と、山を見つめて・・・
雨粒の歓びを羽で受けとめ・・・
*
自由と祝福に満たされ・・・
飛翔したまま・・・
脆弱化(ぜいじゃくか)した、扉の粒子を・・・
通過・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・しました!
◆◆◆◆◆◆◆
=ここで、時空はいつものペースになりました=
「?!」
魔法使いはフリーズしたまま黒塗りの扉を見つめます。
激しい憤りと喪失感が、彼を真っ二つに貫きました!
彼にとって「失う」という経験は、生涯初めてのことでした!!
◆
一方娘は手を叩き、飛び跳ねて喜んでいるのです。
魔法使いは怒りで形相を変えました。
細い目はつり上がり、
顔色はますます あさ黒くなりました。
杖を握った手は怒りでワナワナ震えています。
そして娘に詰め寄ると、杖を鋭く向けました。
「なぜその呪文を知っている!!」
娘は魔法使いの勢いに驚きつつも、必死で言葉を探します。
「お・・・お店のいい香りを嗅いでいたら、
幼い頃 ”これは呪文だよ” って教えられた言葉を思い出したの・・・」
魔法使いは納得できず、娘の首筋に杖を冷たくあてがいました。
それはナイフのような感触でした。
◆
娘は動揺したものの、魔法使いが怒っている理由がわかりません。
”もしかしたら私の言葉が足りないの?
そう言えば・・・
『何かひっかかっていることはありませんか?』
って訊かれたんだわ”・・・と思いました。
そこで彼女は再び繰り返してみたのです。
『汝、我を我と思う者。
我を呼び・・・・・我を使う』
龍よ出でよ!
#ピーコン・ピーコン・ピーコン・ピーコン・・・
魔法使いの内部警報がけたたましくなりました。
彼はおののき、娘から離れました。
あまりの恐怖に顔が醜くゆがんでいます。
ブッー!
ブッー!
ブッー!
ブッー!
「龍:警報発令!
龍:警報発令!!」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
魔法の町全体が警報音を発しました!!
*・×・*・×・*・×・*・×・×・*・×
さあ、ラスト前にひと波乱ーーー!
( ̄∇ ̄+)
続きはこちら→魔法を売る町10
◆◆◆◆◆◆◆
=ここで、時空はいつものペースになりました=
「?!」
魔法使いはフリーズしたまま黒塗りの扉を見つめます。
激しい憤りと喪失感が、彼を真っ二つに貫きました!
彼にとって「失う」という経験は、生涯初めてのことでした!!
◆
一方娘は手を叩き、飛び跳ねて喜んでいるのです。
魔法使いは怒りで形相を変えました。
細い目はつり上がり、
顔色はますます あさ黒くなりました。
杖を握った手は怒りでワナワナ震えています。
そして娘に詰め寄ると、杖を鋭く向けました。
「なぜその呪文を知っている!!」
娘は魔法使いの勢いに驚きつつも、必死で言葉を探します。
「お・・・お店のいい香りを嗅いでいたら、
幼い頃 ”これは呪文だよ” って教えられた言葉を思い出したの・・・」
魔法使いは納得できず、娘の首筋に杖を冷たくあてがいました。
それはナイフのような感触でした。
◆
娘は動揺したものの、魔法使いが怒っている理由がわかりません。
”もしかしたら私の言葉が足りないの?
そう言えば・・・
『何かひっかかっていることはありませんか?』
って訊かれたんだわ”・・・と思いました。
そこで彼女は再び繰り返してみたのです。
『汝、我を我と思う者。
我を呼び・・・・・我を使う』
龍よ出でよ!
#ピーコン・ピーコン・ピーコン・ピーコン・・・
魔法使いの内部警報がけたたましくなりました。
彼はおののき、娘から離れました。
あまりの恐怖に顔が醜くゆがんでいます。
ブッー!
ブッー!
ブッー!
ブッー!
「龍:警報発令!
龍:警報発令!!」
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さあ、ラスト前にひと波乱ーーー!
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