五月晴れだ。雲の群れがゆっくり北上して行く。田植えも終わり、日差しだけが田んぼに取り残されて、人影が消えていた。現場に行く途中、コンビニでアイスクリームを差し入れに買う。建物が、3週間ぶりに行くと、剥き出しだった鉄骨に衣が装われ、引き渡し間じかだ。もうすぐ、この工場で電子部品が作られ、産地がどこかも知られずに使われていく。新入社員とひとしきり、現場研修もどきをする。まるで、親子ほども違う若い人と時空を共有する。会社と言うものは、不思議な世界だ。遠くにいる我が息子も、いずれ、このように、異郷の地で働き出す。五月病なんて言葉があった事を思い出す。あっという間に夏がやってくるのに。