こころをつよくする存在。 | 岡田いずみのブログ

こころをつよくする存在。

何度も、本当に何度でも観てしまう映画がある。

例えば、
「ワーキングガール」

冒頭シーン。
朝日が昇る頃、
一艘の大型フェリーがいつものように
自由の女神が見守る夢の叶う街ニューヨークへと
多くのビジネスマンとともにワーキングガールを乗せて進んでいく。
キラリと光る瞳には大きな夢を輝かせて。

ひとり東京に来て
なれない言葉、環境や価値観の違いに戸惑い、
自信なんか持てるはずも無い、ただひたすら技術を磨き、
心ない言葉に傷つき、悩み、苦しみ、とてもつらかった日々。
そんな中、どんなときも
夢や希望を大切に想うこころに戻してくれた映画。

もしかしたら映画のサクセスストーリー自体より、
その朝のシーンが深くこころに響くのは、
ヘアメイクを夢見て上京したときの気持ちと重なって
その日のこころを想いださせてくれるからかもしれない。

そのシーンを飾るテーマソング、
Carly Simon - Let the River Run を聴くたび、
エネルギーが熱く湧き上がるのを強く感じて乗り越えられた。



最近では、
「サマーウォーズ」

大きな日本家屋、大家族の集まる広間、みんなで食べるごはん、
筋の通ったおばあちゃん、ちょっと変わってるけど愛おしい人々、
信じる力、合わせるこころ、ひとつになって広がるエネルギー。

感じたい温もり、信じたいもの、
手が届きそうな、リアルに叶うと思える奇跡がそこにあった。

そしてテーマソング山下達郎さんの「僕らの夏の夢」。

美しい記憶、理想、願い、ふれあうこころ、強くなるこころ。
「ああ、間違ってなかった。大丈夫。」


知らず知らず薄らぐ大切な何かを信じる気持ちを
よみがえらせてくれた気がした。




映画が好きで好きで
一日に3本!と決めて観ていたこともあった。
いろんな角度から味わい尽くしたい気分だった気がする。

でも1000本を超える頃、何かを疎かにしている気がした。

数なんかではなく、
ストーリーを追うだけでもなく、
映画のスタイル、芸術性に酔いしれるだけじゃなく、
その瞬間の自分のままで体中感じて観ること。

こころを揺さぶる何か大事なもの。

何度も繰り返し観たくなる映画にはそれがある。



私にとって映画でしか感じられないこころの模様がある。
それは明確な言葉じゃないかもしれない。
映像ですらないかもしれない。
胸の奥に感じる”何か”。
でも、その”何か”は、
確実に私のこころに降り積もり、
こころをつよくしてくれる。


そんな映画は娯楽や芸術を超えて
私の人生の師匠みたいに
大切な”何か”を繰り返し教えてくれている存在なのかもしれない。