ジェーン・バーキン | 岡田いずみのブログ

ジェーン・バーキン

私が彼女を知ったのは
フランス映画に凝っていた学生の頃、
あのゲンズブールの作品が特集されるというので観にいった
『ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ』だった

後にゲンズブールのパートナーとなるジェーン・バーキンは
映画の中ではまだ少女で
当時の女優のような女らしい体つきとは正反対の
少年のように華奢で繊細な身体つきに
ボサボサのショートカットにランニング、
Tシャツにコンバース
長いまつ毛、潤んだ瞳にか細い声
時折見せる真実を射抜くような視線

そのコントラストで浮き上がる個性は
単純にボーイッシュという言葉でくくれない
きっと世界ではじめての強烈な輝きだったに違いない
映画で映し出される彼女からは
その美しさが明確な輪郭で刻まれていた
さすがゲンズブール!
そして映画館を出る頃、私は完全に彼女のファンだった



ご縁とは不思議なもので
昨年の3月、フランス映画祭で来日した
ジェーン・バーキンのヘアメイクをすることになった

ちゃんとコミュニケーションできるだろうか?と
めずらしく緊張して部屋の前で深呼吸をし
思い切ってノックすると、
彼女が繊細な面立ちで、
でもはじめて会うわたしを思いやるように
そっと微笑んだ

なんて優しい笑顔のひとだろう・・・

彼女はあったばかりなのにも関わらず
まるでこころをゆるしてくれているかのように振る舞い
とても自然に、でもこころからwelcomeを伝えてくれる
女優であるとか女であるとか国籍とかの前に
一人の人間として出会うことのできるひと

ああ、このひとはひととしても積み重ねたから
こんなにも深く美しいんだ・・・

直感的にそう強く感じた


2日間、撮影やインタビューの間
彼女とともに過ごしたが
私にとって本当にかけがえのない時間となった

彼女のメイクのこだわり。
エルメスのバーキンができた経緯。
そのバーキンにつけられたたくさんの小物たちのエピソード。
ゲンズブールとバレエシューズ。
一緒に悩んで選んだ衣装たち、缶バッチでサイズ調整するアイデア。
東京に来ると必ず行くという草木染めのお店の話。
束の間の休憩時間に一緒に食べた和菓子。
アウンサンスーチンさんの話。
娘さんとお孫さんのはなし。
etc...

その間ずっと日だまりの芝生の上にいるみたいな
太陽の光と温かい空気に包まれているような気分だった

出会うひと全てに対して対応を変えることなく
相手を思いやる温かな親切さをもって
子供のように偽りのない笑顔で微笑みかけ、話しだす
今なお世界中で愛されるひとはそういうひとだった


これはそのときに彼女が私にくれたことば
私の宝物です

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そんな彼女が今の日本を励ますべく
フランスのご家族の反対を振り切り
4月6日東京でイベントを行った
私がそれに気づいたときには
そのチケットの抽選は終わっていて
残念ながら参加はできなかったけど
どうしても彼女のその強い想いに、行動に
ありがとうがいわずにいられなくて
つたない手紙と心ばかりのプレゼントを預けてきた


ジェーン・バーキンさん、
その気持ちが本当に本当にうれしかったです
ありがとう

またどこかで会えることを夢見て