不登校になった子どもって、本当に気持ちが落ちていることも多くあります。その闇落ちした感情を吐き出されると、親としては本当にキツイものがある。

今、ハピスマ前期で３回目の講義が終わり、「聴くこと」についてのポイントを開催しましたが、受講生さんの中で「子どものネガティブな感情を受け止めるのがしんどい」「どうしても、同じ気持ちになって、苦しくなる」という悩みが噴出しています。

ここの解決策としては、「子どもと自分の間に境界線を引くこと」です。

これって本当に大きなポイントだと私は思っているけれど、数学の方程式のように「こうしたら引けます」と、方法を教えてもらってできるようになるかと言われたら、そんなことはなく。

野球の素振りを何度も何度も繰り返して、体にも心にも脳にもその動きを染み込ませて、少しずつ少しずつできるようになるものだと、私は思っています。

もちろん巷には、「これでOK！！」というやり方も溢れているけれど、私はそれをお伝えできるスキルはないので、どうしても泥臭いやり方になりますが。

意識するのは、この３点です。

自分の気持ちではなく、子どもの気持ちだと言い聞かせる
話す内容ではなく、気持ちに寄り添う
今はしんどいけれど、きっと浮上できる力があると信じきる

もう少し詳しく書いていきます。

自分の気持ちではなく、子どもの気持ちだと言い聞かせる

ネガティブなことを聞くのがしんどくなるのは、子どもの気持ちと同調しちゃうからです。

不登校になる子は、繊細な子が本当に多いんですが、そのお母さんも総じて繊細な場合が多いです。

だから、ついつい相手の気持ちをまるで自分の気持ちのように受け取って感じてしまうのですが、まずここを意識して、修正していくのが一番大きなポイントです。

ここを、今は自動で同調していると思うんですが、意識して切り離します。「これは子どもの気持ち、自分の気持ちではない」と、何度も何度も自分に言い聞かせる。そうすることで、自動で気持ちが重なってしまうことからは、抜け出すことができます。

話す内容ではなく、気持ちに寄り添う

聞きたくない話の内容には、「こんな自分はダメだ」のような強い自己否定や、「しにたい」という強い内容も出てきます。

母として、何よりも耳を塞ぎたくて、聞きたくなくなるのはこんな時ではないでしょうか。

この時は、ひとつひとつ、子どもが話す内容に意識を向けないでほしいのです。そうではなく、そんなことを言わざるを得ないような、つらい気持ち、しんどい気持ちに意識を向けてほしい。

話す内容に意識を向けたら、止めたくなります。「そんなことないよ」「そんなこと言わないで」、つい言ってしまいたくなる。でも、どんなにネガティブな内容でも、それに対する返答が否定だったら、自分を否定されたように感じて、逆効果なんです。

どんなに、「生きていてほしい」ということを話したとしても、前提として、相手が話すことを否定した上での「生きていてほしい」なら、余計に追い詰められてしまう。

また、苦しくて苦しくて、もうどうしようもなくて発した「しにたい」を、「聞きたくない」と否定されてしまったら。もう、口に出すことすら封じられて、辛い気持ちは行き場を失ってしまいます。

だから、内容ではなくて、気持ちに意識を向けてほしい。つらさ、苦しさは変わってあげることはできないけれど、分かりたいというメッセージを、否定しない、ただ聞くというスタンスで表してあげてほしいのです。

今はしんどいけれど、きっと浮上できる力があると信じきる

一番大事なのは、ここです。子どもが本当につらそうなとき。苦しそうな時。

この子は、このまま浮上できないのではないかなと不安になると、余計につらい気持ちは大きくなります。

そうではなく、「今は辛いけれど、これを乗り越える力がある」ということを、信じきることです。最初は信じることができなくても、信じようとすること。

そもそも、辛い時というのは、それを超えたら大きく成長できる転機でもある。今この子は、大きな試練に立ち向かっているんだ。それを乗り越えようとしているんだと、信じようとする。

最初は半信半疑でも、少しずつ落ち着いた兆しを少しでも感じると、「本当に自分で浮上できた」と、しっかりと感じてください。

それは、子ども自身にも、大きな成功体験になります。

そう、ここで勝手に子どもに手をだしてしまうと、この大きな成功体験自体を奪うことにもなるんです。

繰り返しやっていく

実際にわたし自身、境界線の話を知った時に、この自分への言い聞かせを繰り返して来ました。次男が苦しかった頃、毎晩寝る前に、自分の苦しみと、わたしへの過去の不満を言い続ける時間がありました。

最初は、「そんなこと言わないで」「大事なあなたの体を傷つけないで」「それをしたのは、お母さんじゃないよ」などと返していたんですが、全く心に伝わらなくて。

境界線を学び、聴くことの大切さを学んだあと、とにかく聴くに徹して、さらに自分に言いつづけました。「これは、次男の気持ちであって、わたしの気持ちではない。次男はきっと、この状態を乗り越えることができる。わたしが余計なことをしなくても、きっといつか、乗り越えることができる」と。

時間はかかりましたが、わたしを責め続ける時間は少しずつ減っていきました。それと同時に、わたし自身も、自動でやってしまっていた、次男との感情の同調が、少しずつなくなって、落ち着いて話が聞けるようになっていきました。

正直、時間はかかります。それでもわたしの場合、半年くらいで落ち着きました。

長男はもうちょっとやっかいで、もっと時間はかかりましたが、最近になってやっと、自分責めの時間が減ってきました。また、わたし自身の気持ちとしても、確かにネガティブな話を聴くのはイヤだけれど、フラットに戻れる時間が早くなりました。

どうか、しばらく続けてみてください。意味がないように思うかもしれないけれど、やらないと今の状態は、そのまんまです。

また、やっているのにしんどい、境界線が引けないという場合は、なにかがちょっと間違っている場合が多いです。その場合は一緒に考えて、方向修正させていただきます。いつでも個別相談にご連絡ください。

わたしの場合、境界線を引くためのイメトレも合わせてやっていったので、その内容もまた後日ご紹介します。

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