2017年10月16日
緩和ケア病棟へ転科しました。
無料個室がまだ空きがないので有料個室へ入りました。
旦那さんには転科について
『今、食事もきちんととれてないから体力が落ちていて、キートルーダの治療が出来ないんよ。急性期病棟にはキートルーダができるようになったら戻るから、それまではここの病棟に入院になったからね。』

あえて『緩和ケア病棟』とは言いませんでした。これは義母からの希望でした。

緩和ケア病棟へかわっても、やはり私も義母も抗がん剤治療を捨てきれてなくて…。キートルーダは投与から2~3ヵ月してから効いてくるという話も聞くので、もう少ししたら効果が出てくるのでは?と期待をしていました。

転科初日に、看護師さんから今までの経過や緩和ケア病棟への要望やイメージ、質問などの面談がありました。
私は胸の内を看護師さんへ伝えました。

「全てを受け入れてこちらの病棟にかわらなければいけないとわかっているのですが、私も義母もまだチャンスがあれば、キートルーダを投与してほしいと思っています。やはり主人にはメラノーマを完治して元気になってもらいたいという気持ちを捨てきれません。」

たぶん看護師さん、なら何故ここに来た??って思うだろうなぁ…と気まずさを感じていた私に看護師さんは

『そうですね。病状を理解して、納得した上で緩和ケア病棟へ来ていただけるのが、一番理想的ではあります。でも、なかなかそういう方はいらっしゃらないですよ。やっぱり元気になりたいし、大切な人には元気になって欲しいというのは当然の思いです。その希望は緩和ケア病棟へ変わってこられても持ち続けていいと思います。希望は持ち続けつつ、でも一方では現実も見なくてはなりません。難しいところですけど、不安だったり気持ちが落ち着かないことがあったりすると思います。私たちは、入院患者さんだけを看ているわけではありません。患者さんを支える御家族も支えていきますから、何でも遠慮せず声をかけてくださいね。』

と言って下さいました。
そしてもう一つ、看護師さん言われた心に残った言葉。

『私たち看護師から見たご主人の今の表情はとても穏やかですよね。ある程度苦痛のコントロールができている。脳腫瘍の関係でぼーっとした感じは症状としてあるとは思いますが、それでも頭痛や吐き気といった、代表的な症状はよくおさえられているので、緩和の治療経過としては良い状態です。』

               表情が穏やか

そう見えるんだ…というのが正直な感想でした。
旦那さんのことをぼーっとしているとしか見ていなかった私にとって、穏やかという表現に最初違和感を感じたのですが、緩和ケア病棟で何人も終末期の患者さんを看ている看護師さんの見方は違うんだなとあらためて思いました。
今、抗がん剤治療は出来ない状況だけど、緩和ケアの治療はきちんと出来ていて、旦那さんには入院当初の苦痛はない事に気づくことができ、抗がん剤だけが治療ではない、緩和だって今の旦那さんにとって、抗がん剤治療と同じように大事な治療なんだということを再認識しました。