これは、旦那さんが脳転移がわかり、サイバーナイフ治療のために入院する前日の夜の話です。

家族5人、ダイニングテーブルの席につき、旦那さんが静かに話し始めました。

『今日は、お父さんの病気のことについてみんなに話がある。Kちゃん(長女)には去年の手術した後に話してたんだけど、お父さんの病気はガンなんよ。右足のホクロがおおきくなって、調べたら皮膚ガンじゃった。手術も2回して、その後も薬をずっと飲んだりして、元気になったとおもっちょったんじゃけどね、最近右足が痙攣したり、うまく歩けんことなったりして、検査してもらったらガンが頭の中にあったんよ。明日から頭のガンの治療でちょっと入院するんよね。治療するけど、たぶん今までみたいに、歩けんと思う。Kちゃんは来年の春には高校生になるんよね。お父さんのは、高校生になったKちゃんが見たい。Cちゃん(次女)は今ミニバス頑張っちょるよね!お父さんは、まだまだCちゃんのバスケする姿が見たい!Y(長男)も柔道頑張っちょるよね。お父さん、本当ならYには、一緒に練習して色々教えたかったけど、この体じゃあ教えられん。CちゃんもYも、お父さんは、頑張っちょる姿がみたいんよ。車椅子に乗ってでも試合には行きたいんよね。行ってもええ?お父さんはもしかしたら死ぬかもしれん。でも、まだまだお父さんはお前らの成長をみたいんよ!じゃけぇ、明日からの治療頑張ってくるね。みんなはお手伝いしてお母さんを助けてね。頼むよ!!』


私は、旦那さんがメラノーマと診断されてから、決めたことが一つだけあります。それは

旦那さんの前で泣かないこと

1番辛いのは旦那さんだし、泣きたいのは旦那さんだって同じはず。旦那さんの前で泣くことは旦那さんを余計苦しめることになると思い、一人の時や心を許している友人の前でしか泣かないと決めています!

しかし、どうしてもこの時は溢れる涙を抑えることが出来ませんでした。長女次女は泣いていました。長男は黙って下を向いていました。

子供たちはそれぞれの胸で何を感じ、何を思ったのでしょう。

子供たちはたくましく、翌朝入院するために家を出る旦那さんに明るく笑顔で『頑張ってね!お父さん!!』と送り出していました。

自分の気持ちを言葉で表現するって簡単なようで難しい…脳腫瘍のある旦那さんにとっては尚更です。
旦那さんが子供たちへ伝えたかったこと…あの時を逃していたら、伝えられなかっただろうなと。あの時、伝えられて良かったとおもっています。