今月は濃茶の稽古に織部窯
(桃山時代に美濃の国で古田織部が指導)
でつくられた 澪つくし茶入 の写しを
使用しています。
茶入の胴に織部釉の黒い点が並んでいる
いかにも織部らしい茶入です。
澪つくし茶入についてはコチラを参照下さい。
それはさておき牙蓋のお話しです。
この茶入の蓋には黒い筋があります。
象牙の神経にあたる部分だそうです。
この黒い筋を巣(す)と呼んだり
虫食いと呼んだりします。
黒い巣がある蓋ですから窼蓋(すぶた)です。
かつて、茶道関連の本を乱読して、
どこで読んだかもう忘れてしまった逸話です。↓
牙蓋の巣を利休は傷とみて、
勝手付きに置いて茶入を使用したそうです。
織部は景色とみて、
客付きに巣を置いたそうです。
利休は織部の趣向に感じ入り
「この件については私は
あなたの弟子になります」といったとか。
稽古では、茶杓を乗せる反対側に
巣を持ってくるように習います。
久し振りに窼蓋で稽古をされた方が
巣の位置に迷っているようでしたので
この逸話をお話しして、
利休にしますか?織部にしますか?
「私、織部にします」と。
窼=巣穴、ねぐら、鳥獣の巣
穴冠に巢 漢字を一つ覚えました。