夫は


私の前でも
涙を流す

大好きなジブリは
全てDVDを持っていて

ジブリ観ながら
私の前では
普通に涙を流す

そんな感じの夫

でも。

そんな夫に

私が決して
入ってはいけない
領域がある。

誰にでも
パーソナルエリアがある。

例え夫婦でも。


しかし

私は
あえて
夫の結界を踏み越えて
パーソナルエリアに
入っていこうと
意を決して

夫に言葉のボールを
投げた。
その時の話

直球で。


私の大きくなってから
息子になった
三人の子達

その母親

夫の前の妻

摂食障害があった。
驚くほど食べる。

そしてトイレで全て出す。

夫とは同じ職業で
頭脳明晰
とても美しい人
でも、学歴で
人を見る
私が苦手な人

三人の息子の母親


義両親は
大変な苦労をして
中学までしか学べなかった。
中卒の両親
それを
元妻は
いつも侮蔑していたようだ。

元妻は
10年以上
浮気をしていた
相手は
コロコロ変わって



長男が
満2歳になった月に
双子が生まれ
その育児は私の想像を
遥かに超える
ものだったようだ。

育児しない元妻

彼が夜泣きする長男を
夜の間抱っこする。
長男は
10歳まで
おねしょが治らず
弟達に分からないように
毎朝
夫がこっそり
布団を干していた。

お泊り学習の時には
成人用の履くタイプの
オムツを
こっそりバッグに
入れて持たせた。
母親の視線は
常に子供に
向いてはいなかった
母ではなく
女としての性が
優っていた


小さな子供三人は
必ず誰かが熱を出す。

朝の五時に
義母に電話をして
七時までに
来てくれ
でないと、困る
と言われ
義母は
駆けつけ子供達の
世話をした。
そんな義母に
彼女は冷たかった

教育に関しても
夫婦は
お互い譲らず
言い争いが絶えなかった。

疲れ果て
虚しい夫の家庭

保育園から
発熱で迎えに来てくれと
たびたび連絡。

「男女同権なのに、
なぜ
私ばかりが子供の為に
犠牲になって
送迎や育児を
しなければならないの?」
と元妻に言われ、
夫は議論に疲れ果て

全ての育児と送迎を
夫がしようと決めた。

担任の僕の代わりは
いくらでもいる。
でも
親の代わりはいない。
だから、
僕が全てしよう

と思って
仮面夫婦しながら
三人の息子を
彼が育て上げたらしい。

保育園の隣の家を買い
小学生の頃には
学校の隣の家に買い替え
中学受験の為に
駅前のタワマンに
住まいを買い替えた。

子供の為にと。

土日
妻は留守がちで


中学生三人と夫婦二人
合計5個のお弁当作りは
元妻が担当したが
その毎日の食材の買い物は
夫だけでしていた。
自分で買わない食材で
淡々と食事を作る
想像しただけで
恐ろしい

忙しいから
生協に変更したが
元妻は生協のチラシさえ
見なかった。

夫が注文した食材で
平日5日
朝、淡々と
5個の弁当を作る。

夫の家庭は
家族全員で
食卓を囲んだ事が無かった。

元妻は
食事をテーブルに並べると
一人で黙々と
キッチンで立ったまま
大量の食事を食べていたそうだ。
そして
こっそりトイレへ直行。



夫は
妻とした事が無いものが
三つあった。

一緒にお風呂に入る事
一緒に晩酌する事
お酒をお酌してもらう事

この三つが無かった。

元妻は
酒豪で

だけれど

彼女は一人で
キッチンで呑んでいた。

コーヒーを夜に飲むと
眠れない彼の横で
持ち帰りの仕事をしながら
元妻は美味しそうに
コーヒーを飲んでいた

リビングのテーブルの上は
妻の仕事の資料で
いつも山のようだった。

同じ職業だが
夫は
家に仕事は
持ち込みたく無かった。

クリスマスや誕生日を
家族で祝った事も無かった。

三男から
そういう話を聞いて
愕然とした


元妻とは長く
別居していたが
子供達の学費、
そしてタワマンの
返済の為に
法律上の離婚が
長く出来ずにいた。


夫婦名義で
タワマンの
ローンを組んだから。


昨日
なぜ
長男と次男が
一緒の電車で帰らない時

「お前ら、
せっかく久しぶりに
会ったのに
一緒に帰れよ」
と言ってやらなかったのか
夫に聞いた。

近くまで来たのに
義母の家に行かず
アウトレットに行くのを
見過ごしたのかも問いた。


そして夫は
鼻水を垂らしながら
拭う事もせずに
男泣きしていた。


あんな息子達の母親と
僕が家庭を 
作ってしまったから
息子達に申し訳なくて

いつからか

息子達に
言えなくなった


そうだ。


そうか。
やはり、そうだったのか。

「だからこそ、貴方が
あの子達の首根っこ持って
教えてあげなきゃ
ならないでしょう?

ごめん。
私も遠慮してしまっていたよ。

私があの子達の母親だから。
私があの子達の欠けた部分を
全霊で
これから補うよ。

大丈夫だから。

あの子達が
パートナーと
キチンと築いていけるように

私と貴方で
スクラム組んで
息子達に
本当の愛を
注いでいこう。

いつからでも遅くないから。」


私は夫に言った。

大きな子供みたいな
夫の鼻水を
私はティッシュで拭った。


寝る時に
夫が

「僕は君を昔から
大好きだけど、
 君は僕の事を
 そんなに好きじゃあないよ。
 だから、さっきみたいに
 僕にキツい言葉を
言えるんだよ。」
と言ってきた。

すねながら言う夫を
抱きしめてしまった

笑えてしまった。

五歳児みたいだ

私には言いたいことが
そのまま言えるんだね


そして
夫は
いつものように

兄ちゃんが旅立ちして
眠れない私の為に
昨夜も夫は私に
添い寝してくれている。


「僕は君に
添い寝してあげたいから、
 これからも毎日する。
 家事も全部僕が
したいからする。
 チビの勉強面もする」

無理して
頑張ってくれてる夫

ありがとう
神様夫マーちゃん

再婚した時
兄ちゃんの奨学金350万を
一括返済してくれた
マーちゃん

私がバツ2と知った時
沢山苦労させて
ごめんと泣いてくれた
マーちゃん

兄ちゃんが運ばれた
ICUの部屋に
私より先に入って
泣きながら 


父さんが来たぞ

兄ちゃん
兄ちゃん

と泣き崩れ

兄ちゃんが
旅立ちしてから何ヶ月も
口腔炎が治らず
手足もショックから
痺れたままの
神様夫


口下手で
口数が少なくて


下町育ちそのものの
せっかちで
短気な神様夫

今夜も
我が家
マーちゃんは
私がお酌しなければ
ビール飲めない
毎日私が
あなたに
お酌するよ。

お風呂も
一緒に入るよ。

面倒くさいから
本当は一人でゆっくり
パックしながら
入りたいけど

いーよ。

二人で入ろう。

そして
大好きな
私達の兄ちゃん

こんな頑張ってる
父さんと母さんです

私は早く
逝きたいけれど
何もかも嫌になるから
命断とうかなとも
思っているけれど
こんな
父さんを置いては
いけないから
父さんを先に
迎えに来てね
頼んだよ

子供達とも
色々あり
母や妹とも色々あって

私には夫しか
居ない

夫も
あれから

子供達や実の親とも
ほぼ絶縁して
私しか居ない

抱えているもの

捨てたもの
無くしたもの


壮絶な私達夫婦
天使cafeキズツキ