出産レポート3 | いずみすみずみ~妊娠編~

いずみすみずみ~妊娠編~

不育症です。第1子誕生につづき、第2子もアスピリンとへパリン治療にて出産しました!
2019年、第3子も同様に誕生。

17時頃。

7階の産科病棟から、エレベーターで3階の手術室へ運ばれました。

エレベータには空の保育器も一緒に乗せられ、「これが赤ちゃんが入るベットですよ、生まれたら、これに入りますよ。がんばりましょうね。」と看護師さんに励まされました。

帰りはこれに赤ちゃんが・・・と思うと、ジーンとくるものがありました。


手術室へ入ると、何人かのスタッフに迎えられました。

TVに出てくるようなクールビューティーのスタッフに、色々説明を受けながらうなずく私。

麻酔は背中に注射し、管を入れる脊髄くも膜下麻酔と聞いていました。

下半身の麻酔とのことですが、背中に注射するとのことでガクブル(((( ;°Д°))))


麻酔医の先生(女性)が、丁寧に麻酔のことを説明してくださいましたが、たまらず「麻酔が効いているのかはどのように確認するのか」と聞いたら、アイスノンをあててチェックしますとのこと。

事前にインターネットで調べたら、麻酔が効かないうちに切られたとか、効きが十分でなかったなどの怖い体験談があったので、とても気になっていたのです。


体を横にまるめ、寝たまま体育座りのような姿勢になり、いよいよ麻酔の注射をする時がきました。

陣痛に耐えながらのこの姿勢はキツイ。思わず「うっ」と声が漏れました。

この時、最後の胎動が感じられました、よかった、赤ちゃんまだ元気だ、とうれしかったことをよく覚えています。

麻酔の先生が「では歯ぐきにするような注射をしますから、動かないでくださいね!」とやさしく声をかけてくださいましたが、歯ぐきの注射って、めっちゃ痛いじゃん!とひとり心の中で突っ込み、へっぴり腰に。

すると「動かないでください!」と抑えられました。


注射をされてまもなく、足の先から感覚が無くなってきました。足がしびれるような感じで、ふんわりあたたかくなった感じ。先生からもそのようになるとの説明がありました。足には血栓予防のマッサージ機がつけられ、室内には「ブーーーーン」というマッサージ機の音が響いていました。


それから、小さなアイスノンを足の先からあてられ、冷たいか、置いている感覚があるかと聞かれました。

冷たくないが、何か置かれている感覚がわかると答えると、冷たくなければ麻酔が効いているということですという説明がありました。

少しずつ上に移動し、腰のあたりに置かれると、少し冷たさを感じました。

すでに、陣痛の痛みが消えていました。


手術室の隅に産科医の先生や小児科の先生が待機しているのが見えました。

麻酔が効くまで待っている様子。待っている間、雑談をしているような感じでした。


また2、3分くらい時間をおいて、同じことをされました。

今度は腰の感覚がなくなり、胸のあたりまで来ると冷たさがわかりました。

「もう少しお待ちください。」と麻酔の先生が他の先生にお話されていました。胸のあたりの感覚が無くなったら、開始なのだと思いました。


さらに5分ほど待ち、胸の感覚が無くなったところで手術開始。

顔の前にタオルでカーテンのようなものを作られ、見えないようになりました。


最初にスタッフの自己紹介がありました。「○○医の○○です」というようにお一人ずつ自己紹介をされました。産科医が2名とのことでしたが、1名は先ほどの先生、もう1人は性別判定などの時に診ていただいた、殿下先生でした。

なんとなく、あの先生には重要な場面にお世話になるなあと思っていたので、予感が的中しました。

他に、小児科医、助産師、手術室スタッフ数名が立ち会いました。


開始の際に「○○さん、35週6日にて陣痛発来のため、緊急帝王切開をします」との号令がありました。

一気に緊張が!

ゴシゴシと強い力でこすられる感覚があり、消毒がされたようです。

その後、「メッス!」とのノリノリの先生の声。電気メスのほうがいいかなどの声が聞こえ、怖いのと可笑しいのと入り混じりました。

30分程度の手術時間だから、そんなに難しい手術でもなく、こんなカジュアルな感じなのかな…。

体にメスが入った感覚はわかりませんでした。ただ、何かされているという気配はうっすらありました。

麻酔の効きがだんだん上にきており、顔のあたりがぼーっとして来ました。それと同時に、吐き気が。

スタッフに気持ち悪くなってきたとのことを伝えたら、麻酔の先生から、吐き止めのお薬を追加ししたとの話。すぐに不快感はなくなりました。


数分して、「今から赤ちゃんを出すために、お腹を強く押します。苦しいかもしれませんが、もうすぐ生まれますから、がんばってくださいね。」との声がかかり、数名でお腹をエイエイと押されました。

これが痛みはなかったものの時間が長く結構苦しかったです。


お腹を押されている間、「男の子だ」という声がきこえたような気がしました。性別もしばらく前に聞いてから、ずっと聞いていなかったし、ここで実は女の子でした~なんて大どんでん返しがないかということも気がかりでした。


ギャ~という産声が聞こえ、息子が生まれました。

帝王切開だと、しばらく泣けない赤ちゃんが多いと聞いていたので、それはそれはうれしかったです。

ただ、この時聞いた声がかなりの金切り声で、これからこんな泣き声を毎日聞くのかなと思うとちょっと心配でした。結果としては、その時だけだったようですが…。

取り上げられた息子は、すぐに小児科の先生に渡され、赤ちゃん用のベットの上で何かチェックをされていました。その間も息子はずっと泣いていました。

そんな息子を横目に、「男の子・・・でいいですよね?」とスタッフに尋ねると、そうです、男の子ですよとのことでした。

赤ちゃんのチェックが終わり、私の胸元に乗せてもらいました。

息子は目をあいていて、娘が生まれた時とそっくり、そして同じくゴムの焼けたような匂いがしました。

頭の大きさはさほど小さく感じませんでしたが、体特に足がやせていて細いなという印象でした。


小児科の先生が、胎便をしていたか産科の先生に尋ねていました。出てくる時にぶりっとしていたよというやり取りが聞こえました。

これから計測をするので、別の部屋に連れていくとのこと。赤ちゃんは保育器に入り先に部屋を出ました。

たしか、この後、赤ちゃんが旦那さんに会えるはず。

時計を見ると、18時近くになっていました。


その後、術後の処置をされて、手術室を出たのがおそらく19時頃。7階に帰ると旦那さんが待っていました。赤ちゃんと対面したとのことを聞いてホッとしました。

私は産後の病室に入り、旦那さんが小児科の先生からの説明(赤ちゃんの状態や今後の予定)を聞いて帰ってくるまでさらに1時間ほど待ちました。赤ちゃんは早産なので、しばらく新生児室という別の部屋で状態を見てもらうことになっていました。


その合間に、看護師さんから「赤ちゃんの写真ですよ!」と撮ったばかりの写真をもらいました。

鼻にチューブを入れられ、手には点滴をしていました。顔がしかめっ面をしているようで、眉間にしわが寄っていました。

少々痛々しい写真でしたが、旦那さんを待っている間どちらに似ているのかなどと考えながら、ずっとそれをながめていました。


こうして、息子は誕生しました。

産声の勢いのよさが今でもはっきりおぼえています。

無事に出産することができた安堵感と、これからくるであろう未知の痛みへの脅えが半々でした。