2024年の10冊目は湊かなえ著の『Nのために』を読み終えました。2019年と2022年に読んでいます。再読ですが、楽しみに読みました。わたしが読んだ本の内容をあまり覚えていないのは、1冊の本を読むのにとても時間がかかっているからだと思うようになりました。

イースター休暇で、少しまとめて読書時間をとることができて、その後も読書時間眺めが続いています。1日に30分、1時間と本を読むことができれば、1冊にかかる時間も短くなり、ストーリーもつながりやすくなるのではないでしょうか。特に内容をすぐに忘れてしまう私にとっては…。

この『Nのために』は3回目ですが、楽しめました。以下、たくさんあるのですが、一部だけ、覚え書きです。

65ページ「みんな一番大切な人のことだけを考えた。一番大切な人が一番傷つかない方法を考えた」

そのときの最善の選択が、真実を明らかにすることではなく「一番大切な人」のことだけを考えることだったのかもしれません。それも、相手には守ってあげたことを知らせず、自分の心の中だけで、守れたことに満足する。その場にいたすべての人がどうできたからこそ、真実は明るみにならなかったということでしょうか。それが、正しいことかどうかは別として…。

211ページ「食べ物のこと、睡眠のことを心配せずに暮らせるのが一番幸せ、なんてことは、おじいちゃんぐらいの年の人たちなら、誰でもわかっているはずだから」

人生の終わりに食べ物のことを心配せず、安心して眠れる場所があったら幸せだと思います。最期を自分のうちで迎えられる人はどれぐらいいるのだろう。きっと、もうお葬式を家から出すという時代でもないのだろうなぁ。

219ページ「一人で強く生きていける人間になりたいーなんてね」

自信を持って、声を大きくして「一人で強く生きていける人間になりたい」なんて言えないけど、経済的にも精神的にも自分で自分の面倒をみれる人ではいたいなぁと思います。誰かに寄りかかるのは、気持ちいいようで実はしんどい気がします。自由のためには自立が必要なのかもしれません。

287ページ「わたしは、人と人のつながりは足し算か引き算だと思ってる。足を引っ張る人。明るいところへ連れ出してくれる人。高い所へ連れていってくれる人」

近くにいる人の影響はとても大きいと思います。家族、友人、職場など、選べるものも選べないものも。人間関係によって見える世界が違うのは納得できます。わたしはいま、日本を飛び出してヨーロッパに住んでいますが、日本に住んでいたときには想像していなかった世界を見えていることに感謝しています。

303ページ「歪んだ空間にずっといると、そこが歪んでいることに気付かなくなる。外に出て、自分がいた場所が歪んでいることを認識して、それでも戻りたいなら戻ればいい」

自分で認識していない「歪んだ空間」から出ることは可能なのだろうか。他の人から見たら「歪んだ空間」でも、本人はそれに気づいていないことが多い気がします。誰かが連れ出してくれるまで、気づかないのかもしれません。

裏表紙にあることば、「それぞれが思いを寄せるNとは誰なのか」、「切なさに満ちた、著者初の純愛ミステリー」が心に響きます。真実か秘密か…Nのために、何ができるのか。大切な人のために…たくさん考えさせられました。