2024年の9冊目は、宮部みゆき著『龍は眠る』を再読しました。2022年の11月に読んでいます。もう、何度も書いていますが、宮部みゆきは大好きな作家のひとりです。読むきっかけになったのは、オーストラリアに住んでいるときでした。2024年の一時帰国でもいい出会いがあったら持って帰ってこようと思っています。

以下、覚え書きです。

30ページ「人間はときどき、そんなふうに致命的に無責任にーいや、楽観的になる。誰でもそういうエアポケットを持っているのかもしれない」

責任とは、とても重いことばです。自分の行動には自分で責任をとるしかありません。でも、自分の行動や言動の結果を常に予測できるわけではありません。想像が及ばないこともたくさんあります。知識や経験で補えればと思いますが、きっと、それも限界があるのでしょうね。

110ページ「人間はな、大人は、自分が知らないうちに悪いことをしたと気づいたとき、すぐに『スミマセン』と言えるほど単純じゃないんだ。悪いことをしたと気づいたからこそ、保身を考えることだってある」

正直に、素直になるって難しいです。自分をごまかすことはできないので、心では分かっていても口に出して謝罪するのはどうしてこんなに難しいのでしょう。それは、保身を考えるからだけではないかもしれません。

167ページ「言葉に出して話すとね、記憶って再構成されるんだ。で、再構成された形で、また保存される。だから、また次の機会に同じ記憶を呼び出すときには、その再構成された形で出てくるんだ」

いいことも悪いことも記憶の再構成は常に行っている気がします。何回も思い出して口に出すと、どんどん記憶が強化されていくのも感じます。

257ページ「彼女は青写真を持っている。完璧な子供時代。完璧な青春。完璧な恋愛。完璧な結婚。すべて『完璧』でなくてはならない。そして私は、彼女の完璧な人生のプランをj柘植んする相手としては失格だった。それだけのことだ。優先するのは常に『完璧な青写真』であって、ひとつでもその基準を満たすことができなければ、ほかにどんないい条件がついていようと、感情的に割り切れなかろうと、そんなことは問題にならないのだった」

人によって、何を完璧だと考えるかは違うと思いますが、育ってきた環境や親からの躾などが影響すると思います。もちろん育った社会や教育による影響も大きいのではないでしょうか。人生においてすべて完璧な道を歩むことなんてできるのでしょうか。常に完璧を優先する人生は、結構厳しいのだろうなぁ。

302ページ「なにかの形でハンデを背負っている人間が生きやすいようにできていなければ、文明国とは言えまい」

いつになったら、そのような世界になるのでしょうか。理想と現実の差が埋まるのはいつでしょうか。

本を読み終わってから、『龍は眠る』というこの本のタイトルについて考えてみました。暴れる龍を静める、コントロールすることは容易ではないと想像できます。世の中にはきっと自分が想像できないようなことがまだまだたくさんあるのだろうなぁと思います。世界は広いですね。