2023年29冊目は、石田衣良著『ブルータワー』を再読しました。頂いた本で、手元に残してあるものです。久しぶりのハードカバーです。持ち運びには不便なので、おうちですべてのページを読みました。再読ですが、相変わらず内容は忘れてしまっていました。ファンタジー小説です。

以下、覚え書きです。

70ページ「あれは爆薬になるほど煮詰められた下層の人間の心なんだ。人の心ほどよく燃えるものはない」

下層の人間とは、社会的に虐げられている人のことでしょうか。自分を社会の中のどの層に置くかは少し難しいかもしれません。日本という社会で考えるのか、ヨーロッパなのか、世界全体なのか…。日本に生まれたということだけで、かなり恵まれていると思うし、いまの時代に生まれたということも自分で選んだわけではないけど恵まれていると思います。それでも、同じ日本に生まれても自分は下層の人間だと思っている人がいるのだと思います。

78ページ「意味がなければ、自分でつくればいいのだ。どれほどの世界が不合理で混乱していても、そこに意味をつくりだすのは人の心の働きだ」

なぜ、どうしてと疑問に思うことは日々たくさんあります。でも、すべてのことに意味を見出せるわけではありません。それを考えすぎて苦しくなるならば、意味を自分でつくればいいということでしょうか。わたしにはちょっと難しい気がします。

129ページ「こんな病気になり、自分のことだけ憐れんでいるうちは生きる気力がゼロだった。それがあの人たちにできることはないかと思ったら、猛烈に明日への意欲が湧いてきた」

人とはそういうものかもしれません。自分が不幸のどん底にいるとき、自分の中に這い上がる気力を見つけるのは難しい。きっかけは視野を広げたときに見つかるのかもしれません。

151ページ「人間は突然爆弾で吹き飛ばされても、身近な誰かに感謝の言葉を残して死んでいく生き物なのだった」

自分の命が燃え尽きる瞬間、人は何を思うのでしょうか。感謝のことばを残せたら幸せかもしれません。わたしはこれまでたくさんの人に出会い、助けてもらっているので、特定の誰かというよりも、生まれてきて人生を楽しめたと感謝できたら嬉しいです。

186ページ「取り返しのつかない間違いをしでかしたことはないんですか」

リーダーは時に苦しい決断をしなければいけないときがあります。常にすべてを上手く丸く収められるわけではないのだと思います。そんなときでも、弱みを見せず歯を食いしばる。それができる人がリーダーなのかもしれません。

ファンタジーだと分かっていても、描かれている世界を想像すると、未来を思い描くのが怖くなります。こんな未来が来ないことを願っています。限られた空間と資源を共有すること、平等って何だろうって考えさせられます。秋もたくさん読書を楽しみます。